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タートルズSS 「近くて遠い記憶」 (おっさんラフレオ詰め合わせ) 

註:このSSは、タイトルにもありますとおり、おっさんラフレオの詰め合わせでございます。

1.アーチー版のおっさん【ラフ:レストランを経営、レオ:たくさんの弟子を持つ道場の師範】
2.うちの現代パラレルのおっさん【ラフ:サラリーマン、レオ:喫茶店のマスター、同棲中】
3.鬱未来のおっさん 

となります。特に3つ目は鬱未来の内容を含むので、苦手な方は閲覧をご遠慮くださいませ。






1.カッコいいデートがしたい 


建物から一歩外に出ると、目の前には水面が広がる。
「本日休業」の札を確かめた俺は、入り口のカギをかけ、繋いでおいた自分の船に乗り込んだ。
縄を解き、エンジンをかけると、船はゆっくりと旋回して向きを変える。目指す場所はそう遠くない。ハンドルを切ると、船は徐々に速度を上げていった。
やがて、船は目的地へとたどり着く。桟橋に降り立った俺は、そっと建物の中を覗きこんだ。
(いた…。)
畳張りの広い空間。たくさんの人がひしめき合う中、一番奥の少し高くなった場所に座り込み、彼― レオナルドは、次々と組み手を行う自分の弟子たちを見守っていた。
横に控えるのは、そんなレオの弟子たちの中でも筆頭格と言える、黒髪を肩の辺りで切り揃えた女性。名を、ノブコ、という。
「…あ。」
そのノブコちゃんが、一番先に俺に気づいた。彼女がレオナルドにそっと耳打ちをすると、道場を見回していたレオの視線が、俺に向けられた。
『外に出ろ』の合図を送ると、レオは小さく頷いて立ち上がり、建物から出てくる。胴着に身を包んだレオは、陽の眩しさに顔をしかめた。
「…どうしたんだ、ラフ。急に…。」
「ちっと、話があってよ。まぁ乗ってくれ。」
そう言って、俺は自分の船にレオを誘う。彼が隣に乗り込んだのを見て、俺は船のエンジンをかけた。
走り出すと、船が通った轍が波となって広がり、水面を揺らして広がっていく。船の縁に手を掛け、じっと正面を見つめるレオ。その横顔をちらりと見てから、俺は口を開いた。
「今日は、店は臨時休業だ。メズに用事があるらしくてな。」
「…そうか。」
メズ。妻の名を出しても、レオの表情は変わらない。周りを見回し、他の船が見当たらないのを確認してから、俺は船を止めた。
「ラファエロ…!?」
「話がある、って言ったろ。」
レオは戸惑っているが、他に何もない水面に、静かに浮かぶ一艘の船。…こんな話をするんだ、二人っきりの方が良いに決まってる。
「…分かった。それで、話とは何だ?」
シートに深く座りなおし、レオはじっと俺を見つめる。一方、俺は話を切り出すべきか迷っていた。
ずっと聞きたかったことだ。しかし、今さら、という気にもなる。悩んだ挙句、俺は唇を濡らし、言葉を絞り出した。
「…お前さ、まだ、…俺のこと、好きか…?」
少しの間を置いて、言葉の意味を理解し、レオの目が丸くなる。
「なっ…、お前、何を突然…。」
「俺は好きだ。」
畳み掛けるような俺の言葉に、レオは本当に黙り込んでしまう。まぁ無理もない。
「お前の言いたいことは分かる。今の俺には、メズがいるもんな。だけどな…。」
そこで言葉を切り、俺は戸惑うレオの目を、ひた、と見つめる。
「だけど、お前への想いは、メズへの想いとは、全く別のとこにあるんだ。だから…。」
言いながら、そろそろと体を近づけていることに、レオはまだ気づいていない。
「…これ、一回きりだ。」
船が、わずかに揺れる。低く呟いて塞いだ唇の感触は、どこか懐かしく、切なく。
「…ら、ラファエロ…!」
赤く染まった頬で、レオが俺の名を呼ぶ。と、そこでレオの携帯端末が鳴る。慌てるレオを後目に、俺は懐から彼の端末を引き抜いた。
「ラフっ…」
「おう、ノブコちゃんか? そう、ラファエロおじさんだ。…ん? ちょっとな。それより、今日は早めにそっち切り上げて、みんなでタートルアイランドに来いよ。今日は貸切だぜ。それにおじさんがスペシャルメニュー振舞っちゃうぞ! あぁ、楽しみにしてろ! じゃ、後でな!」
通話を打ち切り、俺はレオに笑みを向ける。
「もちろん、お前も来るだろ? レオナルド先生。」
俺の笑みと明るい口調に、強張っていたレオの顔が緩む。
「…あぁ。」
「よし! そんじゃ、戻るか!」
恐らく、あの一度きりのキスで、俺の想いは全て伝わっただろう。そう信じたい。俺は努めて明るく振舞いながら、自分の店へと船の穂先を向けた。






2.不意打ちの雨で雨宿り


折から降り出した雨は、瞬く間にその勢いを増した。
「うわー…!」
買い物に出ていた俺たちは、ぱしゃぱしゃと飛沫を跳ね上げながら、歩道を走っていた。
ちょうど良く、進行方向に大きく屋根の張り出したベーカリーを見つけた俺たちは、間髪入れずにそこに飛び込む。
「ったく、急に降ってきやがったな…。」
毒づきながら、服についた水滴を払う。すると、レオが肩に掛けていたバッグの中からタオルを取り出し、俺に差し出してきた。
「…お前、変なとこで用意がいいな…。」
呆気に取られながらタオルを受け取ると、別の一枚で体を拭きながら、レオは顔を曇らせる。
「だが、肝心の傘を持ってこなかった…。」
「んだよ、そんなん気にすんな。俺だって、いきなりこんな雨が降ってくるなんて思わなかったんだから。」
事実、その通りだった。出掛けるまでは晴れていたのに、あっという間に空が曇ってきて、この有様だ。恨めしげに空を見上げるが、雨は止む気配を見せない。
最後に顔を拭いて、やっと一息ついた。タオルの礼を言うと、不意にレオは小さく笑いをこぼし始めた。
「…お前は、いつもそうだな。」
「あ?」
「俺に何があろうと、お前の態度は変わることがない。例え俺が落ち込んでいても、お前の側にいると、不思議と心が軽くなる。」
…こんな場所で、急に、何を言い出すんだ。俺が固まっていると、レオはさらに言葉を続ける。
「覚えているか? 以前、風邪を引いてしまった俺を、お前が寝ずに看病してくれたことを。」
「…あ、当たり前だろうがよ…。」
忘れるはずがない。あの一件がきっかけで、俺はレオと一緒に暮らし出すことになったのだから。
「恐らく、あの時に、俺はお前に惚れたんだと思う。」
…照れてるところに、この仕打ち。やり返さなくては気が済まない。
「…勝ったな。」
「えっ…?」
今度はレオを照れさせてやるために、俺は彼に向かってにやりと笑う。
「俺は、そのもっとずっと前、お前が初めて俺に笑顔を向けてくれた時から、お前に惚れてた。嘘じゃねぇぞ、本当だ。」
…そのセリフが、逆効果だったことを、俺はすぐに思い知る。レオは照れるどころか、ふわりと柔らかい笑みを俺に向けてきた。…俺が一発で惚れた、あの笑みを。
「…ありがとう、ラファエロ。」
「っ…!」
真っ赤になった顔を手で隠しながら、俺は辺りを見回す。後ろのウィンドウの中にパンが並んでいるのを見つけ、照れ隠しのためにわざと大きな声をだした。
「おっ、美味そうだな! どうだレオ、明日の朝飯用に買っていかねぇか!?」
「いいな。」
俺の提案に乗り、レオはいそいそとベーカリーに入っていく。その後ろで、俺は気づかれないようにため息をついた。

…レオの本心が聞けたんだ。急な雨も、悪くはねぇよな。






3.嘘みたいな本当の気持ち


触れた箇所から、微かな震えが伝わってくる。
寒いのかと思い、俺はレオを抱く腕に力を込める。しかし、彼の震えは収まらない。
「レオ。」
低く名を呼ぶと、彼はびくっと怯えたような反応を見せる。そろそろと俺を見つめる目には、…光が、灯っていない。
「どうしたんだ?」
先ほどからの、震えが止まらない理由を問う。するとレオは、言いづらそうに唇を舐め、瞬きを数回。
「…ラファエロ、頼みがある。」
「ん、何だ?」
「…その、俺を、…愛している、と言って欲しい。」
「…えっ?」
頼み、というよりは、懇願に近いレオの声に、俺は戸惑いを隠せない。それほどに、彼の声は切羽詰っていた。
「頼む。嘘でもいいから、俺を愛していると言ってくれ…。でないと…。」
お前の腕に抱かれていることすら、怖くなる。レオは、確かにそう言った。俺にすがりついて、泣きそうな声で。
そんなレオの頭を撫でながら、俺は苦笑を漏らす。
「…お前ってさ、たまにそういう、弱いとこ見せるよな。」
「ラフ…?」
俺の言葉に笑みが混じっていたのが分かったのか、レオは伏せていた顔を上げる。その瞳を真っ直ぐに見つめ返しながら、俺は精いっぱいの笑みを浮かべる。
「ガキの頃は、フィアレスリーダーとか言って、気ぃ張ってたくせによ…。」
「……。」
きょとんとした顔のレオ。彼の頬に手を添え、俺は改めて、レオが望んでいた言葉を紡ぐ。
「分かったよ、レオ。俺はお前を愛してる。」
一言一句、しっかりと噛み締めるような告白。それを聞いて、レオの表情がふやけた。
「…ありがとう、ラファエロ…!」
込み上げてきた嗚咽を封じ込めることなく、レオは俺の胸にすがってぽろぽろと涙をこぼす。
「お前に、そう言ってもらえるだけで、こんなに安心するなんて…!」
「レオ…。」
こんなに、俺からの想いを綴った言葉が欲しかったのか…! 改めて彼を抱きしめなおし、頬を伝う雫を拭ってやる。

お前が、嘘でもいいから、愛して欲しいと願うなら。

俺は、本当の気持ちで、お前を愛そう。

彼が視力を失っていることに、今だけ安堵する。俺の右の目から流れる涙の筋は、きっと見えないだろう。
この想いが、少しでも伝わるように。俺は上から覆い被さるように、レオの唇を塞いだ。

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タートルズSS 「平和の琉歌」 (ラファエロ×レオナルド、裏) 

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タートルズSS 「二人の食卓」 (ラファエロ×レオナルド、おっさん) 

(註: これは、サイトに載せてあるおっさんラフレオの長編パラレルの一部になります。そちらを未見の方は、ぜひサイトの方に載せてあるSSからお読みください。)


毎朝、レオナルドは俺を玄関で見送ってくれる。俺のほうが家を出る時間が早いためだ。
靴を履き、鞄を持ち、俺はレオナルドのほうに向き直る。
「じゃ、行ってくるな。」
「…あぁ。気を、つけてな。」
視線が合うと、途端に気恥ずかしくなる。それを察して、レオまで顔が赤くなる。あー、ったく、朝っぱらから…。
「じ、じゃあ、行ってくるな!」
改めて挨拶をして、俺は振り返ることなく、エレベーターホールに向かって歩いていく。盛大に後ろ髪を引かれまくりながら。
(くっそ…。)
いい年こいて、朝から照れてんじゃねーよ、俺は…。
盛大に顔を赤くしながら、俺は会社への道を歩いていく。毎日、こんな調子だった。それもこれも、俺がレオナルドを好きすぎるせいだな、たぶん…。

そんな、幸せすぎるほどの生活を送っていた、ある日のこと。


夕食もそこそこに、俺は自分の部屋に入っていく。そして、クローゼットの中からトランクケースを引っ張り出し、中に着替えを詰め込み始めた。
「どうしたんだ?」
後ろからこっちを覗き込むレオナルドに、俺はため息交じりに答える。
「明日っから、急な出張が入っちまってな…。その準備だ。」
「出張…。」
「あぁ。しかも二泊三日と来てる。朝も早ぇから、お前を起こさねぇように、静かに出て行くからな。」
「……。」
あれ? レオナルドが黙ってしまった。いつもなら、「…分かった。」とか言ってくれんのに。不審に思って振り向くと、レオナルドは憮然とした表情で、微かに唇を尖らせている。
「…もしかして、たった二泊三日でも、俺と離れんのが寂しい、とか?」
冗談のつもりで言ったのに、レオナルドにこくりと頷かれて、俺は言葉に詰まってしまった。急激に顔が赤くなるのを自覚しつつ、俺は作業を中断する。
「…まぁな、俺だって寂しいさ。だけどな、これは仕事なんだ。仕方ねぇんだよ…。」
何だこりゃ。ガキに言い聞かせてるみたいじゃねぇか。尚も俯いたままのレオナルドの肩に、ぽんと手を置く。
「なるべく早く帰ってくるから。な。」
「……。」
俺の言葉に、レオナルドは渋々ながらも頷く。こいつ、こう見えて、案外ワガママなとこあるからなぁ…。
「あ、そうだ。俺がいなくても、ちゃんと自分でメシ作って食えよ?」
それが一番の問題だった。俺と一緒に住み始めるまでのレオナルドは、料理が全く出来なかったのだ。俺に少しずつ教わりながら料理も頑張っているが、果たしてどうか…。
「ま、二泊三日なんてすぐだ。待っててくれ。」
俺が居ない間の生活に、若干の不安を覚えながら、俺はレオナルドをそっと抱き寄せた。


レオナルドのことを案じながら、俺は二泊三日の出張を終えた。
(大丈夫かな、あいつ…。)
駅を出て歩きながら、俺は家で待っているであろうレオナルドの顔を思い浮かべる。どんな顔して出迎えてくれんのかな…。
「ただいま。」
玄関を入って、まず俺の芽に飛び込んできたのは、
「…お帰り。」
ベッドに寄りかかりながらテレビを見ている、いつも通りのレオナルドの姿だった。態度もごく普通。もっとこう、感動の再会みたいなのを期待していた俺は、少しがっかりしてしまう。
「あー、疲れたぜ…。」
そんな態度を微塵にも出すことなく、俺はトランクを自分の部屋へと置きに行く。そうだよな、レオナルドだって一人暮らしが長かったんだ。今さらどうってことねぇだろう…。そう思いながら、台所のほうへ歩いていくと、すぐに「それ」が見つかった。
「…あ。」
俺が上げた声に、レオナルドもそちらに視線を向けて、すぐに「しまった」と言ったような表情になった。俺が見つけたのは、ゴミ箱に詰まった、コンビニ弁当の空き容器。つまりレオナルドは、自炊をしていない。あれだけ言ったのに…。
「…お前な、ちゃんと自分で作って食えって言ったろ?」
「……。」
出た。だんまりかよ。俺が尚も視線を逸らさずにいると、それに負けたか、ようやっとレオナルドが口を開く。
「…ダメなんだ。」
「…ダメって、何が。」
追求すると、レオナルドは何故か、頬を赤く染めてしまう。そして、彼の口から出てきたのは、
「…お前と一緒でないと、何を食っても、美味いと思えないんだ…。」
何とまぁ、すさまじい口説き文句だろう。つまり、俺と一緒じゃないと嫌だ? メシも味気ない? 仕事してる時以外は、ずっと俺と一緒にいたいって、そういう事か?
「……。」
あまりの事に、俺はすっかり怒る気力をなくしてしまう。照れて頬をかくと、レオナルドの腹が小さく鳴った。それがきっかけで、俺は苦笑を浮かべる。
「どうせ、買い物も行ってねぇんだろ? ピザでも頼むか。」
「…そうだな。」
レオナルドも笑みを浮かべる。俺は新聞入れからピザ屋のチラシを見つけ出し、何を頼むか相談を始めた。


「美味いな。」
届いたピザを一口食べて、レオナルドがほっとしたように表情を和ませる。ラージサイズのピザを一枚、それを半分ずつ。飲み物だけは近くのコンビニで買ってきて、それが今夜の俺たちの夕食だ。
「…そうか?」
口の中のピザを飲み込み、俺はペットボトルのサイダーをあおる。するとレオナルドが、照れたように目を伏せ、ぽつりと呟いた。
「…やはり、お前と一緒に食べる食事が、一番美味い。」
「ぐっ…。」
炭酸がヘンなとこに入り、俺は思い切りむせた。体を折って咳き込む俺を、レオナルドは不思議そうな顔で見ている。
「どうした?」
「けほっ…。あのさ、あんまり俺のこと、照れさせないでくんない?」
「…何のことか分からんな。」
しらばっくれて、レオナルドは手の中のピザを頬張る。俺は額に手を当て、真っ赤になった顔と、さっきからすごい速さで鼓動を刻む心臓を、何とか落ち着かせようとしていた。


くそっ、今夜は寝かさねぇからな、レオナルド…!







サイトの長編にかまけていたら、いつの間にか広告出ちゃってましたよ!

あおきです。どうも。お久しぶりです。


サイトの方で、おっさんラフレオのパラレルの長文を進めていました。その間こっちは放置です。
このSSは、サイトにあるおっさんラフレオの話の中で、ボツになったエピソードを、独立させて書き上げたものです。
だから、先にそっちを見ないと、設定も何も分からないという(・∀・)


これからも長文を書き進めていくので、こちらは放置気味になるかとも思います。もちろん、短いネタが出来たら、ここに載せるつもりではおります。

執筆ペースが落ちてるのは、妄想するのに使う時間が取れないからよ! 申し訳ありませぬ



では、今日はこの辺で。

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タートルズSS 「Proud of you」 (ラファエロ×レオナルド) 

降り出した雨が、容赦なく体温を奪っていく。
フットソルジャーたちに追われた俺とラファエロは、人気のない廃ビルに逃げ込んだ。
「…ちっ、くっそ、しつこい奴らだぜ…!」
そう零しながら、ラファエロは壁を背にして、ずるずるとへたり込む。ラファエロの肌から落ちた雫が、床に丸い染みを作る。
ラファエロは荒い息をつきながら、右の手で左の腕を強く押さえている。指の間から血が滲んでいる。俺をかばって、ケガをしたからだ。
「ラファエロ、その腕、見せてみろ。」
俺は隣に座り込み、ラファエロの腕に手を伸ばす。しかし、彼は首を横に振り、
「…あぁ、大した傷じゃねーよ、こんなの…。」
「っ、だったら、せめて…。」
俺は自分のバンダナを解き、ラファエロの傷を負った箇所に、包帯代わりに巻きつける。雨に濡れてはいるが、これで少しは違うはずだ。
「…ありがとよ。」
バンダナを巻き終えると、ラファエロが小さくお礼の言葉を漏らす。それを聞いて、俺は途端に申し訳なく思った。
「…ごめん、ラファエロ。俺をかばってケガをさせて、こんな事になって…!」
傷に触れぬように気をつけながら、俺はラファエロの腕にすがりつく。本来なら、俺がラファエロを守るべきだったのに、こんな…!
「…レオナルド。」
優しい声で呼ばれて、俺は俯きかけていた顔を、はっと上げる。後頭部に手が添えられ、そっと引き寄せられて…、
「んっ…。」
…雨に濡れて、少しひんやりした、ラファエロの肌。俺を抱きしめる腕に込められた、力の強さ。そして、何よりも俺を落ち着かせてくれる、ラファエロからの口付け。
唇を離し、ラファエロはにっと笑顔を浮かべる。
「俺なら大丈夫だから、そんな顔すんな。」
「あ…。」
言われて初めて、俺は自分が今にも泣きそうな顔をしていることに気づいた。慌てて顔を拭うと、ラファエロはよし、と気合いを入れてたちあがる。
「そろそろ行こうぜ。奴らを蹴散らして、…一緒に我が家に帰るんだからな。」
俺の青を腕に巻きつかせながら、ラファエロは笑う。それを見て、俺も気合いを入れ直した。
「…そうだな、行こう!」
雨はまだ降り続いている。フットソルジャーたちも、まだ俺たちを探しているに違いない。しかし、どんな事があっても、二人一緒であれば、きっと大丈夫だ。


…ラファエロ。

お前を好きになったことを、俺は誇りに思うよ。






あおきです。どうも。

バトラブの練習のつもりだったんですが、肝心のバトルの部分がキレイさっぱりログアウトしました。通常運転です。はい。
糖度も高いしさぁ…。

バトル描写は永遠の課題ですねー。


では、今日はこの辺で。

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タートルズSS 「上昇気流」 (ラファエロ×レオナルド) 

ビルの縁から、下を覗き込む。光の届かない路地裏は、そのまま大きな暗闇となり、俺を飲み込んでしまいそうに思えた。
ひとりでに足が竦む。そんな俺の体を、ラファエロが後ろからそっと抱きしめてくれた。
「大丈夫か?」
「あぁ…。」
ラファエロの腕に包まれて、少しだけ気分が落ち着く。俺たちの体は今、幅の広いベルトでがっちりと繋がっていた。俺の手に自分の手を重ねながら、ラファエロが耳元で囁いた。
「次の風で飛ぶぞ。いいな?」
「わ、分かった…。」
緊張がみなぎり、俺は乾いた唇を舌で濡らす。俺たちは黙って、その時を待った。
やがて、強い風が吹いてくる。ハンドルをぐっと握り締めると同時に、ラファエロの声が響いた。
「いくぜ。1、2の…、3っ!」
その声を合図に、俺たちはビルの屋上から身を躍らせた。
(うわ…!)
一瞬、落ちる、とも思ったが、俺の体はすぐに心地よい浮遊感に包まれていた。
ラファエロの背中のハンググライダーが風を受け、ふわりと空に舞い上がる。俺の手を通しながら、ラファエロは上手に風を読み、ハンググライダーを操る。真夜中だというのに、その操縦には迷いがない。
「レオ、もうちっと高度上げるぜ。」
そう言って、ラファエロはグライダーのハンドルを動かす。高度が上がり、風が頬を撫でる。俺たちの眼下を、ニューヨークの河口近くに架かる大きな橋が通り過ぎていった。
「怖くねぇか?」
ラファエロの問いに、俺は小さく頷く。確かに小さい頃は、高い場所が怖かった。でも今は成長して、高所恐怖症も克服したし、…それに、ラファエロもいる。だから大丈夫だった。
「レオ、下見てみろよ。」
言われて、俺は視線を前から下に向ける。真夜中になっても眠らない街、ニューヨークの夜景。きらきらとこぼれる光の粒が、手を伸ばせば拾えそうに思えた。
「キレイだな…。」
「…そうだな。」
ぽつりと漏らした呟きに、ラファエロが答えてくれる。ひんやりした夜気を胸いっぱいに吸い込み、俺は感嘆のため息を吐いた。


「初フライトは、大成功だったな。」
着地したビルの屋上。俺たちを繋ぐベルトを外しながら、ラファエロが笑う。その笑顔に、また胸が熱くなる。
「よっ、と…。」
背中からグライダーを下ろし、後片付けに入る。俺は衝動を抑えることが出来ずに、ラファエロに抱きついていった。
「お、おい、レオ…?」
何も言わずにラファエロを抱きしめていると、彼は片づけを中断し、俺に向き合ってくれた。そっと背に回された腕が優しい。
「…どうした?」
「…あ、あの…。」
咄嗟に抱きついたはいいものの、次にどうすればいいかをすっかり失念していた。困っていると、頭に浮かんできた言葉が一つ。俺はそれを、素直に口に出した。
「…また、連れて来てくれ。」
「…あぁ。」
微かな笑いと共に、ラファエロが頷いてくれる。ふわり、と彼の指先が俺の頬に触れる。唇が重なり合うまで、そう時間はいらなかった。

お前となら、きっと、どこまでだって行けそうだ。






二人の恋も上昇気流ですよ! って何を言っているのか!

あおきです。どうも。突発的に思いついたラフレオです。

今日、仕事に行くときに空を見上げたら、鳥が2羽、すごく高いところを飛んでいたんですよ。それを見て、ラフレオ変換してしまいました。タンデム飛行ってステキじゃないですか。ねっ。


では、今日はこの辺で。

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