05« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»07

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

ソニックSS 「Windmill isle」 (シャドウ×ソニック) 

目の前に広がるのは、果てなく続く青空。眼下に広がるのは、どこまでも続く青い水面。
視線を右に向ければ、海からの風を受けて、ゆっくりと回る大きな風車。白い街並みによく映えている。
眩しいくらいの、青と白のコントラスト。僕は目の上に手をかざし、ぽつりと呟いた。
「ここが…。」
すると、その呟きを受けてか、僕の左側から声が聞こえた。
「そう、ここがアポトスさ。」
声のする方に顔を向けると、そこには僕をこの地に連れてきた張本人― ソニックが立っていた。
「キレイな場所だろ? シャドウ。」
彼が両手を広げ、笑いながら言う。この空よりも、海よりも、もっとも青い存在である、彼が。
「…あぁ。」
ソニックの言葉にうなずくと、彼はまた満足そうに笑った。


白い石畳の道を歩いていて、驚いたことが二つある。
まず、緑が豊かだ、ということ。ここでは、誰も見ないような路地裏にすら、花が植えられたプランターがあり、通る者の目を楽しませている。
もう一つは、道行く人々がみな、ソニックに親しそうに声を掛けていることだ。そんな一人一人に、ソニックは律儀に返事をして歩く。それが不思議でならない。
「…君は一体、ここで何をしたんだ…?」
耐え切れずに聞いてみると、彼は「あぁ…。」と言葉を濁しながら、手近にあった椅子に腰掛けた。促されるまま、僕もその隣に座る。
「…オレはここで、星を癒す手伝いをしたんだ。」
「…星を、癒す…?」
ソニックは語りだす。以前ここで起きた出来事を。ドクターの計略によってこの星が割れ、中からダークガイアという怪物が出てきたこと、それを倒し、星を元に戻すために世界中を駆け巡ったこと…。
「…ドクターは、そんなものを覚醒させて、何をしようとしていたんだ?」
「お決まりの『エッグマンランドとやらの建設』さ。自分の企みが上手くいったからか、絶好調だったぜ、アイツ。」
「…フン、いかにもドクターの考えそうなことだ。」
元から、アイツはそういった事しか考えていない。そう言い換えた上で、ソニックは話を続けた。冒険の最初に出会った記憶喪失の生き物に、チップという名を与えたこと、旅を進めていくうちに、世界中のたくさんの人たちと知り合いになったこと、チップの正体が先ほどのダークガイアと対を成す存在であり、全てが終わった後に、ダークガイアと共にこの星の奥深くで眠りについたこと…。
「…だから、言ってみればこの星そのものが、オレのかけがえのない友達なんだ。」
「星そのものが、友達…。」
「そうさ…。」
そこで言葉を切り、ソニックは俯いてしまう。体の前で組んだ手のひらに、ぐっと力をこめている。少しの沈黙の後、彼はごく小さな声で呟いた。
「…大切な、友達だったんだ…。」
ソニックが見せた、何か思いつめたような表情。僕は声を掛けることをためらい、ただ黙って彼を見つめていた。
「…へへっ、こんなんじゃあ、チップに笑われちまうな。」
微かに滲んだ涙を指で拭い、ソニックは勢い良く椅子から立ち上がった。
「来いよ、シャドウ。お前に見せたいものがある。」
「見せたいもの…?」
「ああ。」
それを聞いて、僕も椅子から立ち上がる。その間にソニックは、近くにあったアイスの屋台でアイスクリームを二つ買い求め、その内の一つを僕に渡した。
「ほらよ、シャドウ。」
受け取ったアイスを、僕はしげしげと眺めてみる。コーンの上に、たっぷりと盛られたアイスと生クリーム。飾られたフルーツにワッフル、そしてチョコチップ。
「ここの名物の、スペシャルチョコサンデーだ。美味いぜ?」
「…君が、見せたかったというのは、これか?」
早速アイスを食べ始めていたソニックは、僕の言葉に思わず手を止めた。
「いや、これもそうだけどさ。本当に見せたいものは他にあるんだ。」
頬を掻きながら、彼はそう呟く。アイス屋の主人に礼をいい、ソニックは僕を街の奥へと案内した。


太陽と月が描かれたゲートをくぐると、そこにあったのは神殿風の建物。
「ここは、エントランスステージさ。ここから、色んなコースに行けるんだ。」
なるほど、確かにキレイな場所ではある。だが、ここに何があるというのだ…?
「ソニック、いい加減にしろ。君は一体、僕に何を見せたいんだ。」
いつまでも、「見せたいもの」の正体をはっきり言わないソニック。僕の苛立ちは頂点に達していた。
「…あぁ、悪ぃ。実は、ここはアポトスで一番高い場所なんだ。街全体が見渡せる。」
「…それで?」
「で、このアポトスは昼間もキレイだが、特にキレイなのが夕方の風景なんだ。白い建物に夕日が映えてさ…。それをお前に見せたかったんだ。」
「……。」
ようやく白状した、僕に見せたいもの。それは、聞いてしまえば何という事はなく。
「…だったら、最初からそう言えばいいだろう。」
「内緒にしときたかったんだよ。」
「君は、時々感傷的になるな。」
あまり何を考えているか分からない、飄々とした面もあるソニック。ともあれ、そう来たからには、陽が落ちるのをここで待つのだろう。僕は食べかけのアイスを一口かじり、ウェハースと一緒に飲み下した。すると。
「あ、シャドウ。…付いてるぜ?」
そう言って、ソニックが僕の唇に付いたアイスを舐め取り、そのままキスをしてくる。こうやって誤魔化すのが、近頃の彼の常套手段だった。
「…君は、何か理由がないと、僕にキスも出来ないのか?」
「いや、そういう訳じゃ…。」
憮然とした顔になる彼を、海からの風が撫でていった。午後の日差しは少しずつ傾き始め、夕方が近づいてくる。
僕たちはアイスを食べ終え、その瞬間を待った。


そして。

「……!」
街全体が、橙色に染まった。
建物が夕日の色を受けて輝き、眼下に広がる海も光を反射して煌めき、この上なく美しい。
「な? こいつを、お前に見せたかったんだ。」
ソニックが照れたようにこちらを見る。僕は呼吸すら止めて、その風景に見入っていた。
(マリア…。)
ふと、マリアのことが頭をよぎる。アークの中からいつも、遠くの青い星に憧れていた彼女。
もし、彼女がこの風景を見たら、一体何と言うだろうか。

『わぁ…! ねぇ、シャドウ。思ったとおりだったわ。やっぱり…。』

「…やっぱり、この星はキレイだよな。そう思わないか?」

「あっ…。」
思いがけず、思い浮かべていたマリアとソニックの言葉がシンクロして、僕は動揺してしまう。
「…どうした?」
「……いや、何でもない。」
視線をそらすと、ソニックは訝しげな視線を僕に向けてくる。
「変なヤツ。」
首をかしげるソニック。僕はそんな彼の腕を掴み、ぐっと自分の方に引き寄せた。
「いっ…!?」
間髪いれず、僕はソニックの唇を奪う。大きく見開かれた緑色の双眸は、瞬きすら忘れ、小さく震えていた。
口を離すと、すぐに彼は一歩後ろに下がり、手で口もとを覆う。突然のキスにうろたえるソニックに、僕は呆れたような目線を投げた。
「…君は、自分からしてくるのは平気なくせに、僕からされるのは弱いんだな。」
「あ、当たり前だろっ…!」
夕日に照らされていてもはっきりと分かるほど、ソニックは顔を赤らめている。僕は小さく笑いを漏らし、今度はそっと、彼との距離を詰めた。


夜を告げる鐘の音が、街と僕たちを優しく包みこむように、いつまでも響いていた。





や…、やっと書けた…!

あおきです。どうも。
今回は、読みたいSS投票で5位に入った、シャドウ×ソニックをアップしました。

遅筆過ぎる。申し訳ないです。
自分でも、こんなにペースが遅いとは思いませんでした。

シャドウを、SWAの世界に行かせてみたい、というのは、以前からあったネタでして、
せっかく票を入れていただいたのだから、ここで書き上げてみよう。そう思い立って数ヶ月。

待たせすぎている。謝るしかない。
時間も音速ですぎているだろう。そうとしか思えん←

マリアとソニックのセリフのシンクロを思いついてから、やっとせっせと書けるようになりました。


さて、これで読みたいSS投票で票をいただいたSS、全てアップ完了いたしました。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

スポンサーサイト

カテゴリ: ソニックSS

tb: 0   cm: 0

« タートルズSS 「Broken Promise」 (ラファエロ×レオナルド、おっさん)  |  タートルズSS 「All about you」 (トラクシマス×ラファエロ) »

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://deepaquaforest.blog106.fc2.com/tb.php/81-f9c4a103
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。