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銀鉄SS 「二日酔い」 (ブルース×学、現代パラレル4) 

少し遅めの夕飯を終え、俺は箸を置いた。
「あー…。」
あらかじめ入れておいた緑茶を飲み、満足のため息を吐き出す。
時計を見ると、もうすぐ八時になろうとしている。テレビでも見るかと、リモコンを取ったところで、俺はあることに気がついた。
「そういや、今日はまだ学のやつが来てねえな…。」
いつもなら、仕事が終わって帰ってきても、自分の部屋には入らずに、俺の部屋に入ってくるはずなのに。もしや、まだ帰ってないのだろうか…。
「…ま、あいつだってガキじゃねえんだ、来ない日だってあるよな。」
改めてリモコンを取り、テレビをつける。放映していたバラエティ番組は、俺の気分を少しだけ紛らわしてくれた。

それからしばらく、俺はテレビを見たり、本を読んだりして時を過ごした。しかし、まだ学はやってくる様子はない。
時計の針は十一時を指している。寝る前に、俺は洗い物を片付けることにした。
ご飯がまだ残っているが、それは明日の朝にでも食べればいいだろう。そんな事を思いながら洗い物を終え、あくびを一つする。そろそろ寝るか…。
と、俺が思ったその時。
不意に玄関のチャイムが鳴らされ、続いて明るい学の声が聞こえてきた。しかし…。
「…ブルース~、開けてくらさいよぉ~…。」
明らかに様子がおかしい。何やってんだ、あいつは…。
ドアを開けてやると、学は俺の胸に倒れこんできた。
「たらいま~…。」
「うっ…!」
真っ赤な顔の学。その体から立ち上る匂いに、思わず顔をしかめる。
「お前、酒臭いぞ…?」
「だあってぇ、今日は、取引先の人たちとの飲み会でー、どーしても出なきゃいけなくって…。」
そんな事を呟きながら、学は俺の横をすり抜け、ベッドにもたれかかるように座り込む。
「お腹空きましたー、何かないですか…?」
「…お前、何か食ってきたんじゃないのか?」
「食べた気しないですよ~…。」と、腹に手を当てて呻く学。
「……ちょっと待ってろ。」
仕方なく、俺は炊飯器を開けた。中のご飯をラップに包んで軽く握り、回りにまんべんなく味噌を付け、オーブントースターで焦げ目が付くまで炙る。
それを皿に乗せ、割り箸と冷蔵庫の麦茶を添えて目の前に置いてやると、学は嬉しそうに顔を輝かせた。
「わー、焼きおにぎりだー! いただきまーす!!」
言うが早いか、学は瞬く間にそれを腹におさめた。よっぽど空腹だったのか…。
「ごちそうさまでしたー!!」
麦茶を飲み干し、学はそのまま背後のベッドへ上がる。そして、
「お休みなさーい…。」
止める間もなく、学は俺のベッドで心地よい眠りに落ちていった。
「しょうがねぇな、ったく…。」
呆れてはみるものの、俺はやっぱり学には甘い。部屋の灯りを消し、俺は学を起こさないように気をつけながら、ベッドに潜り込んだ。


翌朝、学はベッドから起き上がれずにいた。心なしか顔色も悪いようだ。
「…頭痛い……。」
「完っ全に二日酔いだな。じっとしてろ。」
そう言って、俺は学の額に濡らしたタオルを乗せてやる。すると、学は気持ち良さそうにタオルに手をやった。
「今日、休みで良かったです…。」
「…俺もそう思うよ。」
はぁ、とため息をついて、俺は頭をぽりぽりと掻く。学がこんなんじゃあ、出掛けるわけにもいかないし、どうするか…。
「…あの、ブルース…。」
「何だ?」
自分から話しかけてきたにも関わらず、学はそこで言葉を切り、顔の中ほどまで布団で隠してしまう。
「…何か、食いたいもんでもあるのか?」
「いえ、そうじゃなくて…。」
数秒の沈黙のあと。俺は思い切り耳を疑った。
「…ブルースを、抱っこして、寝たいです…。」
そんな事を言われたからだ。抱っこって、お前…。
「……ぬいぐるみか、俺は…。」
「やっぱりダメですか…?」
こういう時、自分はやっぱり学に甘い、ということを再認識させられる。そんな目で見られたら、断れないだろうが…。
「……分かったよ。」
まあ、たまには寝て過ごすのも悪くない。俺はもう一度ベッドに潜り込み、学の体をぎゅっと抱きしめた。
「ブルースー♪」
学は、心底嬉しそうに俺の胸に顔を埋める。どうでもいいが、何で語尾に「♪」がつくんだ。
子供をあやすように、背中をぽんぽんと叩いてやる。すると落ち着いたのか、学は穏やかな寝息を立て始めた。
それを見て、俺は学の頭を軽く撫で、改めて目を閉じた。


それからしばらく、晩酌のビールは俺だけが飲むことになった。
「俺も飲みたいです~…。」
「お前は酒に弱いだろう? 休みの日ならともかく、平日は止めとけ。」
そう言いつつ、俺はグラスに注いだビールを一息に呷る。学はそれを羨ましそうに、本当に指をくわえて見ている。
注がれる真っ直ぐな視線に、俺はついに根負けした。
「…一杯だけだぞ?」
「わあ! ありがとうございます!!」
いそいそと台所からグラスを持ってくる学。俺はビールの瓶を傾け、学のグラスに酌をしてやった。
「美味しいです!」
学は嬉しそうにビールを一口だけ飲み、空いていた俺のグラスにビールを満たしてくれた。
「はい、ブルース。」
「ありがとう。」
俺がグラスを持つと、学もグラスを手にした。二つのグラスはかちんと小さな音を立ててぶつかり、俺たちの喉を潤した。


なあ学、知ってるか?
お前が俺の前でにこにこ笑うたびに、俺はお前が愛おしくて仕方なくなるんだ。
だから、俺は学に甘いんだ。きっとそうだ。
俺は、無理やりそう思うことにした。
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