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タートルズSS 「待ちぼうけの後に…」 (ラファエロ×レオナルド) 

(まだ来ない…。)
手首にした腕時計を見ながら、俺はもう何度目になるか分からないくらいのため息をついた。
今日、午後六時。俺はラファエロと、この場所で待ち合わせをするはずだった。
しかし、もう約束の時間を5分過ぎている。辺りを見回してみても、彼の姿は見えない。
(何をやっているんだ、ラファエロは…。連絡ぐらいよこせよ…!)
俺は変装用の衣服の中からシェルセルを取り出して、ラファエロのに掛けてみる。しかし、延々と呼び出し音が鳴るばかり。
(……。)
俺は無言で通話を打ち切る。シェルセルをポケットにしまい、背後の壁に背中を預けた。
(…ここで待ち合わせよう、って言ったのは、ラファエロのはずなのに…。)
俺はもう一度シェルセルを取り出して、しばらく彼からの着信を待ってみる。が、何度見ても、呼び出し音はならないまま。
(ラファエロ…。)
一縷の望みをかけて、俺は改めてラファエロのシェルセルに掛けてみる。すると今度は、数度のコール音のあと、誰かが電話に出た気配がした。
「もしも…。」
「もしもし、ラファエロか!? 一体どこで何をしてるんだ!」
電話の向こうの声を遮って、俺はつい大声を出してしまう。
「…期待に添えなくて申し訳ないけど、僕、ドナテロだから。」
「えっ…。」
ラファエロじゃなかったのか…。
「…ご、ごめん、ドナテロ。でも、どうしてラファエロのシェルセルをドナテロが?」
「あぁ、これね。ラフの部屋の前を通りかかったら、呼び出し音が鳴ってたから、出ちゃったんだ。どうも、ラフはこいつを忘れて行っちゃったらしいね。」
「そうか…。」
俺が肩を落とすと、それが電話の向こうのドナテロにも伝わったらしい。
「…何、ラフはまだ来てないの?」
「そうなんだ…。連絡を取ろうにも、あいつがシェルセルを忘れてったせいで…!」
「んー…、もうちょっと待ってみたら? ラフだって、レオが待ってるのを分かってるだろうしさ。」
「…あぁ、ありがとう、ドナテロ。」
通話を終わらせると、俺はまたため息をついた。ラファエロ…、どこにいるんだ…!
改めて街を見渡すと、華やかなイルミネーションに、飾りで彩られたツリーが煌めいている。そう、今夜はクリスマスなのだ。それなのに…。
「ラファエロ…。」
想う相手の名前が、とうとう口からこぼれ出す。
通り過ぎていく幸せそうな二人連れを目で追いながら、俺はもう一回時計を見てみた。
(二十分過ぎた、か…。)
せっかく、ラファエロに渡すプレゼントも手に入ったのに…。吐く息が白く、空気中に溶けていく。何の気なしに空を見上げていると、ちらちらと白い物が舞い降りてきた。
(あ…。)
雪だ。思いがけない出来事に、道行く人々から歓声が上がる。俺はそれにしばし見とれていたが、体に染み入る寒さに、首に巻いた白いマフラーに顔を埋めた。
寒さは、そのまま心細さへと変わる。来ない相手を待ち続けるのが、こんなに辛いなんて…。
「ラファエロっ…!」
じわりと滲んだ涙を何とか我慢して、俺は持っていた荷物を胸に抱える。ラファエロへのプレゼントだ。
先ほどよりも多くなってきた雪が、俺の足元で溶けていく。それを見ていると、とうとう我慢できずに溢れ出した涙が、地面に小さな水溜りを作った。
「うっ…、く、ラファエロっ…!」
浮かれる街の中で、泣いているのは俺一人。それが、また無性に悲しかった。


時計の針は、午後七時を差した。ラファエロはまだ姿を見せない。
(…もういい、帰ろう…。)
俺は諦めて、その場から離れるように歩き出す。すると、
「あっ…!」
通りの向こうから、大急ぎでこちらに走ってくる人影が一つ。見間違えるはずもない、あれはラファエロだ…!
(……!)
慌てて、俺は近くの物陰に隠れる。こんなに俺を待たせたんだから、少しは心配させてもいいはずだ。
「あれ…、ここで待ち合わせのはずなんだけどな…。レオナルド…?」
荒い息を整えながら、ラファエロが呟く。きっと、俺を探してきょろきょろしてるに違いない。
俺は身を隠した場所から、ラファエロに見えるように、マフラーの裾をひらひらと動かした。…俺を、見つけてほしかった。
「レオナルド!」
果たしてその目論見は成功し、ラファエロはちゃんと俺を見つけてくれた。俺の顔を見た彼が、ほっとしたような表情になった。
「良かった…! 悪ぃ、遅れて…。目当ての店がすげぇ行列で、シェルセルも部屋に忘れちまうし…。」
言い訳を始めたラファエロの前を、俺はわざと不機嫌な表情で通り過ぎる。
「どれだけ待たせれば、気が済むんだ…。」
「だから悪かったって。お前を驚かせたかったんだよ。ほら、これ…。」
そこで言葉を切って、ラファエロは持っていた包みを俺に差し出す。
「…何だよ。」
表情は崩さぬまま、俺はその包みを開ける。中から出てきたのは、可愛らしいクマのぬいぐるみ。それに気づいて、俺は思わず小さく声を上げていた。
「あ…。」
「…ほら、こないだ、欲しがってたろ? だからよ…、こっそり買って、渡そうかと、思って…。」
ラファエロの言葉が尻すぼみになっていくのは、照れているからだろうか。朱に染まった頬をぬいぐるみで隠しながら、俺は怒ったような口調で続ける。
「…これで、俺の機嫌が直ると思ったら、大間違いだぞ…!」
「だーかーら、悪かったって。」
歩き出す俺を、慌ててラファエロが追ってくる。何とか俺に機嫌を直してもらおうと、必死になって。そんな彼の前で、俺はいきなり後ろを振り向いて、驚いた彼の唇を自分ので塞いだ。
「んっ…!」
突然のことに、目を丸く見開くラファエロ。唇を離して、俺は彼に初めて笑顔を向けた。
「…これで、帳消しにしてやる。」
固まってしまったラファエロを置いて、俺は夜の街に向かって一歩踏み出した。
「何やってるんだよ、置いていくぞ!」
そう声を掛けると、やっと我に返ったラファエロが、同じように笑顔になって、俺を追いかけてきた。
「待てよ、レオナルド!」

程なくして、俺はラファエロの腕の中に包まれる。それは、冬の寒さをちっとも感じさせないくらい、温かかった。
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カテゴリ: タートルズSS(RL)

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