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必殺SS 「しらたま」 (政×竜、捧げ物) 

出来上がった刀を渡しに行っての帰り道、政は仕事がひと段落したことから、少し空腹を覚えた。
(金は受け取ったし、たまにはどっかで食ってくのもいいな…。)
そう思い、政は手近にあった一膳飯屋に入った。
「いらっしゃいませー!」
暖簾をくぐるなり、下女の威勢のいい声が響く。ちょうど昼飯時ということもあり、ごった返す店の中、政はようやく空いた席を見つけた。
「邪魔するぜ。」
ひょいと席に着き、相席となった相手の顔を見やる。と、そこで政は驚きに目を見開いた。
「組紐屋…!」
政の相席の相手となったのは、その名の通り、組紐屋の竜であった。ずっと頬杖をついて外を見ていたから、政は気がつかなかったのだ。
思いがけぬ偶然に、政は竜のほうに体を乗り出す。
「珍しいな、お前ぇが、こんなとこで飯食うなんてよ。」
「…お前ぇこそ、何でここに居るんだ。」
明るい声の政とは対照的に、竜は不機嫌そうに呟く。
「何でって…、仕事の帰りだよ。刀の研ぎを頼まれてたとこが、ちょうどこの近くでよ…。」
そこまで言ったところで、下女が二人に注文を取りに来る。二人とも定食を頼み、政は改めて竜の端正な顔を見つめた。
…思えば、最近裏の仕事もなく、顔を合わせるのすら久しぶりな気がする。と、そこでようやく竜が政の視線に気づいた。
「……どうした?」
「っ…、あ、いや、何でもねぇ…。」
瞬きを何度もしながら、政は竜から視線を外す。…ここでお前を見つめてた、などと言ったら、竜に変な目で見られるのは確実である。黙っておくほうが得策だ。
程なくして、定食が運ばれてくる。二人はそれに、ほぼ同時に箸をつけた。
政はまず、白飯を口に運ぶ。対して竜は、味噌汁の入ったお椀を手に取り、口をつけようとして、
「…熱っ。」
思いのほか熱かった味噌汁に、小さく声を上げた。
「……。」
竜は無言のまま、味噌汁の表面に何度も息を吹きかけ、冷ましている。そんな竜に、思わず政は箸を止めていた。
「…今度は何だよ。」
呆けたように自分を見ている政に、竜が声を掛ける。それに反応してか、政は半開きの口から小さな呟きを漏らした。
「…お前ぇ、可愛いな…。」
「…!」
政の言葉に、竜は露骨に眉間にしわを寄せる。男である自分に、可愛いなどと。こいつは何を考えているのだろうか。そう言ってやりたい竜だったが、黙ったまま味噌汁を啜り、付け合せの煮物に手を伸ばした。
竜が口を開いたとき、政には竜の白い歯が、まるで真珠のように見えた。


定食を腹に納め、落ち着いた二人だが、何となく、「このまま別れてしまうのはもったいない」と思っていた。
そして当然のように、それを先に口に出したのは、政のほうだった。
「…なあ、竜…。どっかで、白玉でも食ってかねえか? お前ぇ、好物だろ?」
「……。」
竜は小さく頷き、政の少し後について歩き出した。
この辺りで白玉が食べられる甘味処がある場所といえば、やはり参拝客で賑わう神社の境内であろう。
二人はそんな茶店の中の一つに入り、入れ込みに並んで腰掛けた。
冷えた麦湯を運んできた下女に、政は白玉を二つ注文する。
「…今日は、俺が奢る。」
そう言う政に、竜は無表情のまま、少しだけ顔を赤くした。
すぐに、よく冷えた白玉が運ばれてくる。器も冷やされており、持つ手までがひんやりと心地よかった。
器の中には、白玉と白砂糖が盛られており、たっぷりと砂糖を白玉に絡めて食べるのだ。
早速、竜が一つ目の白玉を口に運ぼうとする。が、
「あっ…!」
楊枝への挿し方が甘かったのか、白玉は竜の手からこぼれ落ち、地面に転がってしまう。それを見て、竜はがっかりしたような表情になった。
ふと気がつくと、がっかりした自分を、またも政が見つめている。竜はうな垂れたまま、上目遣いで政を睨みつけた。
「…さっきから、何なんだお前ぇは。」
恨みがましい口調の竜に、政は口の中の白玉を飲み下して、こう言った。
「…やっぱお前ぇ、可愛いな…。」
「……!」
二回も「可愛い」などと言われ、竜の不機嫌は最高潮に達した。竜は一皿目の白玉を食べ終わらないまま、下女に白玉のお替りを注文した。
「ちょっ、お前ぇ、食いすぎだぞ?」
「うるせぇ。俺のこと、可愛いだなんて言いやがって。これぐれぇ我慢しろ。」
手早く一皿目を食べ終わり、竜は傍らに置いておいた二皿目に手を伸ばす。その様子に、政は竜に分からないように苦笑を浮かべた。
(こいつが喜んでんなら、いいか…。)
口の中に広がる甘味は、久しぶりに二人で過ごせる時間と同じくらい、政には甘く感じた。






…よし、ミッションコンプリート!
相方に捧げるSSでございます。テーマは「お前ぇ、可愛いな。」
政が竜に思わず「可愛い」と言ってしまうようなシチュエーションを作れ、と言われました。
なので、味噌汁と白玉のダブルでいってみました。

「白玉」と「真珠」、どっちも「しらたま」って読むんですよ。
だからタイトルは「しらたま」。…ちょっと真珠の部分が強引なような気もしますが、纏まったので良し。

白玉あんみつ、美味しいですよね。あおきは粒餡が苦手なので、あまり食べませんが。というか、あんこじゃなくて白玉をメインで食べたいんだよ。何で申し訳程度に2、3個しかついてないの。

…自分で作れ、ってことか?


最後に。

相方受け取れ! (ノ゚Д゚)ノ ⌒☆ そぉいっ!!


では、今回はこの辺で。
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カテゴリ: 仕事人SS

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