07« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»09

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

タートルズSS 「Canterellando」 (ダークレオ×レオナルド) 

(これは、以前書いた「出会えたことが奇跡」の続きとなっております。前回の話を未見の方は、そちらから読んでいただきますよう、お願いいたします。)


自分の体を、周りの空気と一体化させる。
何も思い浮かべる必要はない。ただ目を閉じ、呼吸を徐々にゆっくりと、深いものにしていく。
こうすることで、頭の中も、心も澄み切っていくような気がする。
だが、その空間と外を繋げるドアが開くと、俺はすっと意識を戻した。
「お早う。朝食が出来たよ。」
そう言って微笑むコーディに、俺は頷いて見せた。
「あぁ、今行く。」

コーディのペントハウスで暮らし始めて、俺はずいぶん変わったと思う。
まず、コーディに教えを請い、自分も修行を始めた。体を鍛えることはもちろん、精神面での修行も行っている。
今は、朝のトレーニングを道場で行い、最後の瞑想を済ませたところだった。
「彼らのために作った道場だったんだけど、君のためにもなって良かったよ。」
一緒のテーブルで朝食を摂りながら、コーディは明るく笑う。
驚いた。彼は日に日に、大人に近づいていく。身長だけではなく、心の方も。これも修行の賜物か…。
「コーディ、今日の予定はどうなっている?」
「うん、今日は会社のほうで会議があるから、それに出なくちゃ…。たぶん、夕方までには帰れると思う。」
「解った。」
朝食を済ませ、俺はコーディの出社の準備を整える。以前いた、サーリンというロボットの仕事を、俺が引き受けている、という形になっていた。
「じゃあ、行ってくるね、レオナルド。」
「…あぁ。」
ホバーシェルに乗り込み、こちらに手を振る彼に、俺も手を振り返した。
それで満足したのか、コーディは出掛けていった。見えなくなる前に、もう一度手を振ってみせて。

彼は、俺のことを「レオナルド」と呼ぶ。
俺のオリジナルである者の名で、俺のことをどう呼んだらいいか分からないから、こう呼ばせて欲しい、とコーディが頼んできたのだ。
それは別に構わないのだが…、本当は、「レオナルド」と呼ばれるたびに、俺はオリジナルのレオナルドを想い、少しだけ胸が痛くなる。
その痛みを抑えるためにも、俺は修行に専念しているのだ。
体を動かすのもそうだが、合間に本を読み、知識を蓄えるのも忘れない。
コーディを送り出した俺は、修行を再開するまでの間に、読みかけの本を読んでしまおう、と考えていた。

「…ふん。」
ソファーに深く腰掛け、読み終えた本を閉じ、俺はためていた息を吐き出した。
なかなか、ためになる内容だった。さて、また修行を始めるか…。
そう思って大きく両腕を伸ばすと、俺は自分の手首に付いている物に目を留めた。
これは、昨日コーディが作って、俺にくれたものだ。
「これを使えば、例え僕がいない時でも、タイムウィンドウを起動できるよ。」
確かコーディはそう言っていた。使い方も、分かりやすく教えてくれた。
「……。」
使ってみるか…。
端末のスイッチを入れると、言葉通り、タイムウィンドウが起動した。映っていたのは…
「レオナルド…。」
自分たちの時代に帰っていった、レオナルドの姿だった。彼の姿を見た途端、胸が締め付けられるような痛みに襲われる。
確かに、彼らの様子は分かるが、画面が光ってしまって、あまりよく見えるとはいえない。
「…あ。」
そうだ、確かコーディの研究室でも、タイムウィンドウが見られたはずだ。そこでなら、もっとはっきり見えるかもしれない。
そう思い立ち、俺はそれまでいたリビングのソファーから、コーディの研究室へと移動した。

彼の研究室は、相変わらず色々な物が置いてある。だが、この機械の操作も、以前コーディに教わって覚えていた。
その通りに操作し、タイムウィンドウを起動させる。思ったとおり、ここで見たほうがよく見える。
「……。」
ウィンドウの中で、彼は動いている。話をしている。笑っている。しかし、相変わらず声は聞こえない。
胸を襲う痛みは消えない。俺は知らず知らずのうちに、ウィンドウに向かって手を伸ばしていた。しかし。
「…!」
俺の手は、ウィンドウを通り抜け、無機質な機械に触れた。解っていた。もう彼に触れることなど、出来はしないと。だが、それでも。
微かに震える手を、ぐっと握りこんで抑える。下唇を噛み締め、俺はウィンドウの向こうの彼を見つめた。
すると、彼が不意にこちらを見た。
「ぁ…!」
本当に見つめられているようで、心臓が跳ね上がる。数秒、彼は俺と視線を絡ませ合い、…向こうで誰かに呼ばれたらしく、後ろを向いてしまった。
(どうしようもないな、俺は…。)
自嘲めいた笑みを浮かべ、俺は俯く。しばしの沈黙の後、俺は顔を上げて、もう一度ウィンドウを見つめた。
向こうで、変わらず笑っている彼に向けて、口を開く。

「レオナルド…、俺は…、……、…。」

口の中で消えてしまいそうなほど小さな声で、俺はレオナルドへの想いを呟く。
届かないと知っているからこそ、言える言葉であった。
やがて、レオナルドは画面から消えてしまう。俺もウィンドウを消し、彼と自分のために、一粒だけ、涙を流した。


もし、また彼に会うことが出来たなら。様変わりした俺に、どんな表情をするだろうか。
その時までに、もっと修行を積んで、あいつが驚くぐらいに強くなってみせる。
待ってろ、レオナルド。
俺は小さく頷いて、コーディの研究室を後にした。





今回はちゃんと考えたから、明け方テンションじゃないですよ!
闇レオ×レオの3連投になっちゃったけど、そんなん考えてたら書けなくなるから気にしない!

タイトルの「Canterellando」というのは、そのまま「カンテレッランド」と読みます。音楽用語で「小声で、口の中で呟くように」という意味です。イタリア語です。
偶然この単語を見つけて、「闇レオなら、想いの伝え方はこんな感じだな」と思ったら、瞬く間にこんな話を思いついてしまいました。
イタリア語のタイトルなんて初めてだよ。

で、闇レオが最後、レオに向けてどんなセリフを言ったかは、読んでくださる皆様の想像にお任せします!
はっきり書いちゃったら、つまらないですからね。

…思いつかなかったわけじゃないぞ! 本当! 本当だから!!

では、今日はこの辺で。
スポンサーサイト

カテゴリ: タートルズSS(DLL)

tb: 0   cm: 0

« 銀鉄SS 「Diamond dust」 (バルジ×ブルース、現代パラレル)  |  タートルズSS 「Faith」 (ダークレオ×レオナルド、捧げ物) »

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://deepaquaforest.blog106.fc2.com/tb.php/35-d5310744
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。