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銀鉄SS 「Blue Heaven」 (バルジ×渉) 

その地に降り立ったとき、私が初めに感じたのは、太陽の眩しさと、どこまでも続く青い海の織り成すコントラストだった。
ビッグワンのメンテナンスのために立ち寄ったこの星で、私たちは一時の休息を得ることが出来た。
遠浅の海岸の上に、広い桟橋が作られ、その上に人が住む家が作られている。
今、私と有紀隊長は、その桟橋を囲むように出来た砂浜の上で、文字通り羽を伸ばしていた。
「良いところだな…。」
「はい。」
有紀隊長の呟きに、私は目を細めて答える。透明度の高い海水が日の光を反射して、きらきらと輝いている。
視線を遠くにやれば、そこには遥か昔からあるという、遺跡の姿がある。緑に囲まれたその姿は、とても神秘的だった。
ちなみにローレンスは、ビッグワンに残ると言っていた。生真面目なあいつらしい。
そのため、私は有紀隊長と二人きりの時間を楽しめている、というわけだ。
潮風が、私たちの頬を撫でていく。真っ白な砂浜に打ち寄せる波は、どこまでも澄んでいて、清らかだった。しかし。
「…少々暑いな…。」
「……そう、ですね…。」
それはそうだ。この気候だというのに、私たちはきっちりと隊服のコートを着込んでいる。有紀隊長に至っては、スカーフまで身に着けている。これでは、確かに暑すぎるだろう。
なので、私たちはすぐそばの椰子の木の根元まで移動した。ここならば、心地よい風に吹かれ、気持ちよく過ごすことが出来る。
「ふう…。」
木の幹にもたれ、有紀隊長は一息ついた。帽子を取ると、その癖のある長髪が露になる。端正な横顔に、私は少しの間見とれてしまった。
桟橋のほうで歓声が上がった。見ると、子供たちが服を着たまま、桟橋の上から海に飛び込んでいるのが見えた。
「子供はいいな…。出来るなら、私も泳ぎたいくらいだ。」
有紀隊長の言葉に苦笑していると、突然彼はその場に立ち上がった。
「そうだ、別に泳がなくてもいいんだ。海に入るだけでもいいんだよな。」
「えっ…!? ゆ、有紀隊長…!?」
戸惑う私を後目に、有紀隊長はコートやスカーフ、ブーツ、靴下までもを脱ぎ捨て、隊服のインナーだけになった。
そのインナーも、膝のあたりまで捲り上げてしまう。それが、私にはとても眩しく見えてしまうのだ。
「……。」
驚いて目を見張る私を置いて、有紀隊長は海に入っていく。脛の辺りまで水に浸かり、彼は気持ち良さそうに天を仰いだ。
「お、魚だ…。」
手首のあたりまで水の中に入れ、彼は魚を捕まえようとしている。が、魚のほうが動きが早く、なかなか捕まえられない。足の間をすり抜けて逃げられ、とうとう有紀隊長は諦めて、手を水から出した。
「なかなか上手くいかんな…。」
水の中で無邪気に遊んでいる彼を見ていると、なぜか鼓動が速くなっていく。それをごまかすため、私は顔を振って立ち上がった。
「隊長、何か飲み物でも買ってきます。」
「お、頼む。」
高鳴る胸を押さえ、その場から離れる。桟橋の上の店で、私はここの名物だという青いジュースを二つ買い求めた。
椰子の木の下に戻ると、有紀隊長はそれを待ちかねていたかのように海から上がってきた。
「ありがとう、バルジ。」
私の手からジュースを受け取り、彼はにっこりと笑う。…そうだ、この笑顔が好きなんだ、私は…。
顔を赤くする私に、平然としている有紀隊長。少し減ったジュースの中身を目の前で揺らしながら、穏やかな微笑みを浮かべた。
「飲み干してしまうのが、もったいないな…。」
そう言って、少しずつジュースを口に運ぶ有紀隊長。私は胸の鼓動から喉の渇きを覚え、ジュースを一息に飲んでしまった。

「あぁ、気持ちいいな…。」
ジュースを飲み干した有紀隊長は、大きく伸びをした。そして隣にいた私の膝の上に頭を乗せ、横になってしまった。
「ゆ、有紀隊長っ!?」
「バルジ、ちょっと、借りるぞ…。」
そう呟くやいなや、有紀隊長は心地よい眠気に誘い込まれてしまった。まったくこの人は、どれだけ私を振りまわせば気がすむのか…。
「……。」
それでも、私はこの人が好きだ。彼の持つ人柄に、強烈に惹かれているのがわかる。髪の中に指を入れると、有紀隊長は気持ちよさそうに頭を動かした。
「ん…。」
膝に感じる重みが嬉しい。…日頃、隊長としての任務に忙殺され、ろくに休む暇さえないのだから。

今日ぐらいは、ゆっくりとお休みください。私の膝くらい、好きなだけお貸しします。


いつの間にか、夕方になっていた。日は沈んだが、空はまだ紅の色を残していた。
有紀隊長は、まだ眠ったままだった。余程疲れていたのだろうか…。
打ち寄せる波の音が、耳に心地よい。昼間よりもっと爽やかさを増した風に吹かれ、私も目を閉じた。と、
傍らに置いた、有紀隊長のコートの中から、インカムのコール音が聞こえてきた。
コートをさぐり、インカムを取り出す。耳につけて通話ボタンを押すと、すぐにローレンスの声が飛び込んできた。
「有紀隊長ですか? ガイ・ローレンスです。ディスティニーから通信が…。」
「…ローレンス、すまん。俺だ。」
彼の言葉を遮り、私は呆れたように呟く。やっと通話の相手が有紀隊長ではなく私だと知ったローレンスは、少々声を尖らせた。
「…バルジか。隊長は何をしている?」
「寝ている。」
「つまらん嘘をつくな。」
「嘘をついてどうする。有紀隊長は昼寝の最中で、まだ目覚めてはいない。伝言なら、私が伝えよう。」
私の言葉に、ローレンスは少しの間黙り込み、
「…仕方ない。ビッグワンのメンテナンスが終わった。目が覚めたら、すぐに戻ってきて欲しい、と伝えてくれ。」
「わかった、伝えよう。」
それで、通信は途切れる。私はインカムを外し、まだぐっすりと寝ている有紀隊長の額を撫で、もう一度目を閉じた。


起こすのは、もう少し後にしておこう。

もう少し、彼と二人きりで過ごす時間を、一人占めしておきたいから。





以前から書きたかった小ネタです。
舞台は、「ソニックワールドアドベンチャー」のステージでもある、「アダバタ」です。
…まぁ、インドネシアとか、典型的な「南の島」をイメージしてもらえれば、と思います。
アダバタなんか、自分が行きたいくらいですからね。

本当の名物はバナナなんですけど、

有紀隊長にバナナなんか食べさせたら犯罪である

…と思い直し、もう一つの名物であるジュースを飲ませました。だって有紀隊長は存在自体がえろすだから。

タイトルは適当に曲名をつけちゃったんですけど、まあ、イメージ的には合ってるかな、なんて。

では。

(追記:8月9日) サイトの方にもアップしました。
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