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タートルズSS 「いいひと」 (フィン×レオ、ultra PHANTOM番外編) 

鮮烈な、出会いだった。
(うわっ、うわ…!)
目の前で、今まで一緒に行動していたゲリラたちが、次々とやられていく。にも関わらず、俺は目の前で踊るように戦う彼を、じっと見つめていた。
頭から被ったベージュの布、ちらりと見える琥珀色の瞳と、青いバンダナ、篝火に照らされて夜に映える、明るいライトグリーンの肌。そこにいたのは、「ジャングルの幽霊」と呼ばれた、俺とよく似た姿を持つ存在だった。
口を半開きにしたまま、彼を見つめる。反撃しよう、なんて考えすら起きなかった。彼の姿に見とれてしまう。瞬く間に心が奪われる。こんな体験は、生まれて初めてだった。
やがて、ゲリラたちを全て地に伏せた彼は、ただ一人、そこに立ちすくんでいた俺と対峙する。少しの距離を置いて眺める彼の姿は、炎を浴びて、とても美しかった。しかし、
「あっ…。」
彼は、俺を見て、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた後、そのまま踵を返してジャングルに消えていってしまった。まだ名前も聞いていないのに…。

そんな、強烈すぎる出会いをしたんだ。「彼の後を追う」という決断をしたのは、至極当然のことといえるだろう。


俺は夜が明ける前に、ゲリラたちの溜まり場を後にした。少ない荷物を纏め、彼らの貯め込んでいたものから、当面の食料と現金をこっそり持ち出して。
そのまま、手ごろな茂みに身を隠し、朝になるのを待ってから、俺は行動を開始した。
(確か、こっちの方角だったよな…。)
彼が姿を消した方角へ、歩を進める。ジャマになりそうな枝をナイフで打ち払い、俺は当てもなく、ジャングルを歩き続けた。
「暑いなー…。」
昼間は湿度が高くて汗をかくけど、夜は逆に震えるほど冷え込む。ゲリラの服をそのまま着てきてしまったけど、それが逆に良かったのかもしれない。
「はぁ…。」
しかし、昼間の暑さは如何ともしがたい。頬を流れる汗を拭うと、突然目の前に水の流れが現れた。しめたとばかりに顔を洗い、喉を潤す。
「…はー、生き返った、って感じ。」
タオルで顔を拭って、一息つく。すると、俺の耳に、自分が立てたものではない水音が聞こえた。方向は、俺の左、この小川の上流。ゲリラたちの残りとは考えにくい。じゃあ、一体、誰がいるんだ…!?
微かな期待感を胸に秘めて、俺は小川に沿って歩く。すると、目の前に現れたのは、ちょっとした滝。そこだけ岩で壁が出来ていて、その上から水が降り注いでいる。滝の周りには広めの水場が出来ていて、俺が見つけた小川はそこを水源としているようだ。
こんな場所があったのか。背中の荷物を降ろし、俺は大きく伸びをする。と、突然響いた大きな水音に、俺は慌てて近くの木の陰に身を隠した。
「ぷはっ…!」
今まで水の中に潜っていた誰かが、水中から顔を出したようだ。恐る恐る顔をのぞかせた俺は、思わず大きな声を出してしまいそうになり、とっさに口を両手で押さえた。
(昨夜の彼だ…!!)
そこで水浴びをしていたのは、まさしく昨夜、俺がいたゲリラ基地を壊滅させた、「ジャングルの幽霊」本人。ここにいたのか…! やっと出会えた…!
じっと見ているうちに、彼は水から上がる。どうやって声を掛けようか迷っていると、鋭い声が俺に向かって飛んできた。
「…そこにいるのは誰だ。」
「っ…!」
警戒心から出たであろう冷たい声に、体が強張る。
「今から五つ数える間に、姿を現せ。一、二…。」
まずい。俺は覚悟を決めて、隠れていた木の陰から離れる。両の手を顔の前まで上げながら、俺は彼に向き直った。
「……?」
俺の姿を見て、彼の顔に宿っていた敵意みたいなものが霧散し、今度は疑問の表情になる。
「君は…、誰だ?」
問いかける彼に、俺はぎこちなく笑みを向けながら、そっと口を開いた。
「…初めまして。俺は…、フィンセント。昨日、君が襲撃をかけたゲリラ隊にいたんだけど、…覚えてないかな?」
「!」
ゲリラ、と名乗ったとたんに、彼の目に敵意が宿る。彼は有無を言わず、両手を上げたままの俺に、長い刃物のような物を突きつける。これ、刀…?
「…ゲリラの残党が、俺に何の用だ。復讐か?」
「ちっ、違うよ…。俺は君に、復讐するつもりなんてないって…!」
刀の鋭さに、俺は腰を引く。するとその分だけ、彼が距離を詰めてくる。その目から、まだ敵意は消えていない。
「何なら、身体検査をしてくれてもいいよ。護身用のナイフ以外に、刃物は持ってきていないから…! だから、お願い、これ…、降ろして…!」
「……。」
必死、とも言える俺の言葉に、ようやく彼は刀を降ろしてくれる。
「よ、良かった…。」
ほっとした俺は、その場にへたり込んでしまう。彼は刀を納め、済まなそうな表情になる。向けられる敵意が消えた瞬間だった。
「…済まなかった。驚かせたりして…。」
「いや、いいよ。俺だって、結果的に君を驚かせちゃったわけだし…。」
苦笑いをすると、彼の手が俺に向かって差し出される。ありがたくその手を取り、俺は立ち上がった。
(あ、ちょっと俺より背が小さい…。)
こうして近くで並んでみると、俺の方が彼より少しだけ背が高いのが分かる。水に濡れたままのライトグリーンの肌は、日の光を浴びて、きらきらと光っていた。
「やっぱり、キレイだな…。」
「え?」
ぽつりとこぼした一言に、彼が反応する。慌てて笑ってごまかしたけど、…さっきから、心臓がすごい速さでばくばくいってる。これはさすがに、ごまかせなかった。


彼が身支度を整えるのを待ってから、俺たちは改めて話をした。手近な倒木の上に腰を降ろした俺に、彼は真っ赤なりんごを放ってよこす。
「食べていいの?」
「あぁ。」
「…ありがとう。」
俺はナイフを取り出し、丁寧に皮をむいて、一口かじる。甘い果汁が喉を潤した。
「美味しい!」
「…そうか、良かった。」
俺の隣で微笑む彼は、きっちりと青いバンダナを締め、さっきの刀を背中に背負っている。そして、彼も同じようにりんごをむいて、食べ始めた。
「俺は、レオナルド。よろしく。」
「…レオナルド、っていうんだ。あいつらは、『ジャングルの幽霊』って呼んでたけど…。」
「あぁ…、それは、ゲリラたちと、この付近の村の人たちが呼んでいたあだ名みたいなものだ。」
「なるほどー…。」
りんごを食べ終え、話はいよいよ本題に入る。ちゃんと、伝えないと…! ここまで来た意味がなくなっちゃう!
「で、フィンセントは、どうして俺を探していたんだ?」
「…う、うん…。」
問われて、俺は黙り込む。ここは…、やっぱり、正攻法で行くか!
「…れ、レオナルド!」
「…ん?」
緊張で、顔が赤くなる。目をぎゅっとつぶりながら、俺は一思いに彼への思いを吐き出した。

「…ひっ、一目惚れしました! 俺と付き合ってくださいっ!!」

「なっ…!?」
レオナルドの、戸惑った声が聞こえた。当たり前だよね、初めて会った相手から、いきなりこんな告白。誰だってびっくりするよ…。
しかし、さらに俺をびっくりさせる出来事が起こった。レオナルドは、俺の告白を、すんなりと受け入れてくれたんだ。
「…お、俺で、いいのか…?」
「いっ、いいも、何も、…もう、…大好き、だから…!」
お互いに照れてしまって、顔が見られない。膝の上で固く結んだ手に、何かが触れる。視線を走らせると、それは他ならぬレオナルドの手。
(あっ…。)
彼の手は、俺の拳を優しく包む。触れ合った場所の体温が、急激に上がる。
「…ありがとう。俺で良かったら、…よろしく頼む。」
「えっ…、…レオナルド、本当にいいの?」
自分から告白しておきながら、半信半疑な俺。目に飛び込んできた彼の笑みは、俺の疑問を解かすには十分すぎた。
「…いい奴だと、思ったからな。」
…そ、そんな単純な理由で、俺の告白を受け入れてくれたの…? でも、彼の笑みには邪気が全くない。ほんとに、いいの…!?
「…あ、ありがと、レオナルド…!」
まさか、こんなにあっさり受け入れてもらえるとは思わなかった。彼の手を握り返すと、レオも俺の手をぎゅっと握ってくれる。その温かさが、とても嬉しかった。


今日彼と会えたのは、幸運、としか言いようがない。何故なら彼は、明日にもこのジャングルを離れ、家族の待つニューヨークへ帰ろうとしていたところだったから。
レオナルドの話によると、ニューヨークで彼を待つ家族は、俺やレオナルドと似たような姿の弟たち三人と、みんなの父親であるネズミの、合わせて四人。
「わぁ…!」
会いたい。俺と同じような姿の、仲間たちに。
「ねぇレオナルド、俺も付いていっていい!?」
「…勿論だ。」
「いいの!? ありがとう!」
快諾を貰って、俺はレオナルドに抱きつく。今まで親しんできたジャングルを離れることになるけど、これからはニューヨークで、レオナルドと、その家族と、新しい生活が始まるんだ!
「フィンセント…。」
抱きついた俺を引き剥がすことなく、レオナルドは俺の背中に腕を回し、優しく撫でてくれる。速いテンポを刻む心臓が、思いの強さを教えてくれる。

大好きだよ! 俺だけの、ultra PHANTOM!





以下、ちょっとしたおまけ




ジャングルに修行に行ったはずのレオナルドが、

「…やぁ、みんな。」
「初めまして!」

…何故か、見知らぬ男を連れて、我が家に帰ってきた。


「えーっと、フィンセント、だっけ?」
「うん、そう。」
ドナテロの問いに、そいつは小さく頷いて答える。
「はっきり聞くけど、君は…、レオナルドと、どんな関係なの?」
「えっ…、…えっと、口に出すのはちょっと恥ずかしいんだけど、…まぁ、恋人同士、ってヤツ。」

何だって?

レオと? コイツが? …恋人? だと?

「まだ、そういった関係になってから、間もないんだけどね。あはは…。」
照れたように笑うその顔が、思い切り癪に障った。だから。

コイツが我が家に来て数日後、俺はフィンセントを外に呼び出した。


「…どこまで行くの?」
「……。」
奴の問いに答えず、俺は無言で真夜中のニューヨークを走る。とっさに目に付いたビルの屋上で足を止め、少し遅れてたどり着いたフィンセントに目をやる。
「はぁ…、ラファエロ、速いよ…。」
膝に両手を当て、フィンセントは荒くなった息を整える。そのぐらいの時間はくれてやろう。
「…で、俺に話って、何?」
一見、穏やかそうにも見える、赤い瞳。だが、その奥には強い意志が宿っている。俺は奴の目を正面から見返し、低く言葉を紡いだ。
「…レオと、恋人だって言うのは、本当か。」
「…あぁ、その話? 本当だよ。ジャングルで出会った時に、僕が一目惚れしてね。思い切って告白したら、レオナルド、すんなり受け入れてくれてさ。びっくりしたよ…。」
あはは、という笑い声に、俺は我慢の限界を迎えた。フィンセントに詰め寄り、思い切り睨みつける。
「いいか? お前なんかにレオは渡さねぇ。お前が惚れるずっと前から、俺が惚れてたんだ。それを横から掻っ攫って行きやがって…! 必ず取り戻す。レオは絶対渡さねぇからな!」
俺の剣幕に、きょとん、とするフィンセント。分かったのかよ…! もう一度ダメ押ししようと、俺が口を開きかけた瞬間、不意に後ろから声を掛けられた。
「はいはいそこまで~。ちょーっと聞き捨てならないことを聞いちゃったなー。」
「なっ…、ドナテロ!? ミケランジェロ!? お前ら何でここに…!?」
そう、俺とフィンセントの間に割って入ったのは、他でもないこの二人。
「今まで黙ってたけど、オイラだってレオちゃんのこと、だーいすきなんだもんねっ!」
「僕だってそうだ。ずっと、レオのことが大好きだった。他の人に渡すなんて、絶対に出来ない。」
何と、ドナテロとミケランジェロも、「レオが好き」だと言い出した。あまりのことに言葉を失っていると、それまで黙り込んでいたフィンセントが、小さく笑い始めていた。
「ふふっ、ふふふ…!」
「…おい。何笑ってんだよ。」
俺が凄むと、フィンセントは笑いを収め、納得したようなため息をついた。
「へぇ…、なるほどね。つまり、全員がライバル、ってことか。」
…確かにそうなる。ここにいる全員がレオへの想いを表した以上、俺たちはライバル関係ということになる。
「いいよ。相手に取って不足なし。俺だってレオが好きなんだから、…誰にも渡さない。」
まるでこの空気を楽しむかのように、フィンセントは舌なめずりをする。この瞬間、俺たちのレオを巡る戦いの火蓋は、切って落とされた。






そろそろ私は、bnさんに怒られそうだ…。

あおきです。どうも。ええ、フィンレオです。すみません。

今回は、ultra PHANTOMのアナザーストーリーといいますか、「もしジャングルで二人が出会っていたら」をコンセプトに書いてみました。番外編という位置づけですね。
しかし:長い はっは長文書くの楽しいです^ω^

おまけは、フィン、ラフ、ドニー、マイキーによる、「長男総愛され~レオは俺のものだ誰にも渡さない選手権~」です。
私としては、ここにウサギさんやカライや闇レオを入れて、文字通り \カオス!/ にしてみたいんですがねっ。

では、今日はこの辺で。
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