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タートルズSS 「心に降り積もる想い」 (ラファエロ×レオナルド、おっさん) 

(註:現代パラレルになっていますので、ご注意を。)




大通りから、路地を一本入って、二つ目の角を左に。そこに、俺が行きつけの店がある。
年季の入った木製のドアを開けると、からん、と小さく鳴るドアベルと共に、ここのマスターの視線が俺を射抜く。
「よう。」
「……。」
いらっしゃいませ、の一言もなければ、俺に返事をするわけでもない。ただ、入ってきた俺に一瞥をくれた後、彼は黙々とグラスを拭く作業に戻る。

「喫茶 レオ」

飾るわけでもない、マスターである彼の名を冠しただけの、小さな喫茶店。ほの暗い店内を満たすのは、スピーカーから流れてくる静かなクラシックだけ。俺はここが、いたくお気に入りだった。
「いつものな。」
カウンター席、彼の目の前に陣取った俺は、その一言で注文を済ませる。彼もそれを心得ていて、小さく頷いた。
サイフォンが立てる泡の音が、心地よく響く。程なくして俺の前に、一杯のコーヒーが置かれた。
俺はにやりと笑って、カップを口に運ぶ。舌が焼けるぐらいに熱いブラック。砂糖もミルクも入れない。俺はこれがお気に入りだった。
一口喉に流し込んで、ため息と共に呟く。
「美味ぇ…。」
コーヒーの香りの息を吐き出すと、珍しく彼が口を開いた。
「…この間、お前を見た。」
「あ? どこで。」
「…駅前の、居酒屋の前だ。」
いつもは一言もしゃべらないはずの彼が、今日に限って口を開く。かなり珍しいことだった。しかも話題が、俺のことと来た。
「一緒にいた、若いのは、…お前の部下か。」
問われて俺は、その時のことを思い出していた。確かあの日は会社で飲み会があって、部下たちに向かって二次会行くぞー、とか言って、だいぶ酔っ払ってたな…。
そうか、あんなとこ見られちまったか。
「…まぁな。」
何となく照れくさくて、俺は頬を掻く。すると、思わぬことは続くもので、彼が言葉を続けた。
「…あの若いのを、俺の店に連れてきたりはしないのか。」
「…え?」
問い返すも、彼はぴたりと口を閉ざしてしまう。しばしの沈黙のあと、俺は苦笑と共に首を横に振った。
「いや…、それはねぇな。」
「…何故だ。」
ほんと珍しいな、ここまで突っ込みやがるか。
「あんな若ぇのには、この店の良さはまだ分からねぇよ。多分な。」
事実、その通りだと思う。使い込まれて磨き抜かれて、深い色合いになったカウンターの板。店内の内装も、俺ぐらいの年になると、どこか懐かしい。
恐らく、この店の良さは、たかだか二十年とそこらしか生きてきてない若造には、到底分かるものではないだろう。
「それに…。」
「…それに?」
言いかけて、俺は口を閉ざす。…これは、言ってもいいものだろうか。言葉を途中で止めた俺を、彼は怪訝な顔で見てくる。
「それに…、何だ。」
「…いや、いい。」
「気になるだろう。話せ。」
俺が言うのをためらってるというのに、彼はそんなのおかまいなしに、俺に詰め寄ってくる。…仕方ねぇ、そんなに聞きてぇなら、言ってやるか。
「…部下なんか連れてきて、こうやって、お前と差し向かいでコーヒー飲める時間を、邪魔されたくねぇからな。」
これには、さすがの彼も手を止める。どういう意味だ、と問いかけてくる彼の目に、俺はコーヒーで喉を潤してから、小さく呟いた。
「こんな良い店、他の奴には教えたくねぇもんな。」
こうやって、お前と二人で過ごせる、静かな時間。俺はそれを、他の誰にも邪魔されたくなかった。
「ま、お前さんとしちゃ、商売上がったりだろうがな。」
はは、と笑いを漏らすが、彼は笑顔すら浮かべぬまま、拭き終わったグラスを片付ける。
「っと、忘れてたぜ…。」
俺はそう言って、カウンターの下に置いておいた自分の鞄から、ビニール袋を取り出す。そしてその中身を、彼の前に差し出すようにして置いた。
「…何だこれは。」
「見りゃ分かるだろ、ケーキだよ。メリークリスマス、ってな。」
彼の前に置いたのは、ここに来る前にコンビニで買っておいた、苺の乗った丸いケーキだ。
「どうせ、何の用意もしてねぇと思ってよ。買ってきてやったぜ。あ、この期に及んで、持ち込み禁止、ってのはナシな。」
「……。」
彼はしばし、そのケーキを眺めた後、おもむろにケーキの箱を持ち上げ、俺に背を向ける。お? 照れてんのか?
俺がそう思ったのもつかの間、彼は俺が持ってきたケーキを、包丁で二つに切り分ける。そして、その片方を皿に乗せ、ご丁寧にフォークまでつけて、俺の前に置きなおした。
「…えっ?」
ケーキと彼の顔を交互に見ていると、彼は俺から視線をそらし、ぽつりと呟く。
「…一人より、二人で食ったほうが、美味い。」
…なるほど。さっそくフォークを持って食べ始めようとすると、当のレオがそれを押しとどめる。
大人しく待っていると、彼は店の外に出て、ドアに掛かっている札を「Close」にし、戻ってきた。これで、本当に誰にも邪魔されることなく、この時間を楽しめる。
「今夜は、お前の貸し切りだ。」
「…そりゃあ、ありがてぇな。」
彼が自分用に入れたコーヒーと、俺が飲んでいたコーヒーのカップ。俺たちはそれを顔の前で小さく掲げ、中身に口をつけた。

雲に覆われた空から、ちらちらと雪が舞い降りてきた。それを窓から見ながら、俺たちは二人だけの静かで、温かな時間を楽しんでいた。






メリークリスマスなおっさん!

あおきです。どうも。今年のクリスマスはおっさんラフレオで行きます。

妹との会話の中で、「おっさんレオが喫茶店のマスターだったら」っていうネタが降りてきて、本気で萌えたので、「だったら、クリスマスと絡めてネタにしよう」と思いまして。

設定としては、レオ:喫茶店のマスター、ラフ:レオの喫茶店の常連、会社では部長あたり。双方独身、関係は恋人未満、といったところでしょうか。

もしかしたら、このシリーズで長編書くかもしれませぬ。


では、今日はこの辺で。
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