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銀鉄SS 「Bittersweet Flavor」 (ブルース×バルジ) 

静かなピアノの旋律が、ほの暗い空間を満たしている。
SDFの寮の近くにある、俺がいつも通っている酒場。そこに今日は、バルジ隊長を伴って来ていた。
「ふう…。」
一杯目のグラスを空け、バルジ隊長は嬉しそうに微笑む。この店は、普段からあまり賑わうことはない。俺はそこが気に入っていた。静かに飲めるし…、大切な人を連れてくるのには、最適な場所だった。
「お前が、こんな良い店を知っていたとはな…。」
空になったグラスの中で、氷が小さな音を立てる。そのタイミングを見計らって、俺は目の前の店主に、事前に頼んでおいたものを出してもらうように言った。
「何だ?」
バルジ隊長の前に、出してもらったワインのボトルを置く。かなり値の張るもので、普段であればとても手を出す気にはならない代物。それを目の前に置かれて、バルジ隊長はひどく驚いた。
「ブルース、これは…?」
「…俺の奢りです。どうぞ。」
それを聞いて、隊長はさらに驚いた。
「しかし、こんな高い物を…。」
困り顔の隊長。俺は彼の青い瞳をじっと見つめ、低く囁いた。
「いいんです。…バレンタインの、お返しなんですから」
「あ…。」
言われて初めて、今日がホワイトデーだと思い当たったらしい。バルジ隊長は、薄暗い店内でもはっきりと分かるほど、顔を赤く染めていた。
「バレンタインの時に、チョコレートを下さったではないですか。その、お返しのつもりです。」
「…そ、そうか。では、ありがたく、頂こうかな…。」
多少ぎこちない口調で、隊長はワインをグラスに注ぐ。深い赤と、芳醇な香り。
「ブルースも飲んでくれ。二人で飲みたい…。」
「…では、頂きます。」
俺のグラスに、隊長が手ずからワインを注いでくださった。二人のグラスが合わさり、澄み切った音を立てる。彼のはにかんだような笑みが、いつも以上に愛しく思えた。


グラスを空け、俺はため息をつく。中辛口の味わいは、奥深い風味を思うさま引き立てている。やはり、このワインを選んで良かった。
ふと見ると、バルジ隊長のグラスはまだ空いていない。それどころか、先ほどから全く中身が減っていない。まさか、口に合わなかったのだろうか…。
「隊長、どうなさいました?」
「ん? あぁ…。」
俺の言葉に、隊長はグラスの中身に視線を落とす。軽く揺らすと、それだけで香りが立ち上る。
「…お口に、合いませんか?」
「いや、そんなことはない。美味いぞ。」
俺を安心させるかのように、バルジ隊長は笑ってくれる。しかし…。
「…ただ、やはり勿体なくてなぁ。あっという間に飲んでしまうのがな。」
「そんな事、気になさらないで下さい。」
あなたに喜んでもらいたくて、注文しておいたのだ。気を使わせてしまうのは、逆に申し訳ない。
だが、俺の胸のうちを余所に、隊長はグラスを目の高さまで持ち上げ、穏やかな笑顔を浮かべる。
「…それに、これはブルースからの想いなんだろう? それなら、一口ずつ、しっかり味わって飲みたいじゃないか。」
「隊長…!」
彼の言葉に、俺は胸を打たれた。だから、少しずつ飲んでいらしたのか…。
(…そういう、生真面目なところも、俺の心を掴んで離さないんですよ、隊長…。)
胸に生まれた温かい感情に、自然に笑顔になってしまう。すると、隊長が俺のグラスに二杯目のワインを注いだ。
「改めて、乾杯といこう。」
「…はい。」
グラスの立てる、澄んだ音色。隊長がグラスの中身を喉に流し込んだのを見て、俺もそれに倣った。
仄かな酔いと、バルジ隊長への想いだけが、体中を満たしていた。


ピアノの旋律は、いつの間にか止まっていた。しかし、その余韻は、いつまでも俺たちのいる空間に残っていた。

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