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ソニックSS 「Starting over」 (シャドウ×ソニック) 

過去は捨てた。
全てを終わらせたときに、宇宙の彼方に置いてきたはずだ。
だが今、彼はそのことを責めてきている。
「本当に…、全部、捨てちまったのかよ…!」
ソニックは僕の両肩を掴み、がくがくと揺らす。その表情は陰に隠れ、はっきりとは分からない。しかし、彼の声は確実に涙を含んでいた。
「なあシャドウ、俺たち、一緒に走ったことがあったよな。二人で戦ったときもあった…。あの時お前は、俺のことをフェイクだって言って…! 他にもたくさん…。それを、全部忘れたっていうのか…!?」
問い詰める彼に、僕は目を伏せたままで、言葉を返した。
「…本当に、すまないと思っている。だが解ってくれ。僕にとって過去とは、忌々しいものだった…。それこそ、自分自身という存在に嫌気が差すくらいに…。」
「だからって…!」
更に言い募ろうとする彼を手で制し、僕はその場から一歩退いた。僕の肩に置かれたままだった彼の手が、宙に固まったままになる。
「…記憶を失っていたとはいえ、僕がこの世界に多大な迷惑をかけたことは事実だ。だから、僕はそれを償いたい。もちろん許されるとは思っていない。ただの自己満足だと言われるかもしれない。しかし、そうしなければ、僕の気は治まらないんだ。」
言いながら僕は、無意識のうちに自らの手を固く握り締めていた。堪えきれない痛みを、無理やり押しとどめるように。
「シャドウ…。」
それを知ってか、ソニックは何も言えないようだった。握っていた手のひらをゆっくりと開き、僕は軽く息を吐いた。
「そして、全てを新しくやり直したい。そのためには、僕はどんなことでもするつもりだ。」
「……。」
ソニックからの言葉はない。そこで僕は初めて顔を上げ、少し潤みかかった彼の目をひた、と見据えた。
「君にも迷惑をかけた。まずは、それを謝りたい…。」
僕が頭を下げると、ソニックは驚き、おたおたと慌て始めた。
「シャドウ、お前が気にすることじゃないさ。だから、頭なんて下げないでくれよ! オレはただ…。」
「ただ?」
中途半端に言葉を切ったソニックに視線を向けると、今度は彼のほうが俯いてしまっていた。
「…ただ、以前のお前に戻ってほしくて…。」
「以前の僕に?」
完全に俯いてしまった彼に、僕は自嘲気味な笑みを向けた。
「言ったはずだ。僕にとって過去は忌まわしき物…。もう、振り返るようなことはしたくない。いつでも真っ直ぐ、前だけを見て走っていく。それがソニック・ザ・ヘッジホッグだろう。」
「……!」
少しではあるが、彼の両の目が見開かれる。その緑の双眸を、僕はもう一度、正面から見つめた。
「君への想いは変わらない。だから君との関係も、『以前に戻る』のではなく、また『新しく始めたい』んだ。今、この瞬間から。」
先ほど下がった一歩を前に踏み出し、ソニックとの距離を詰める。半開きになっていた彼の唇を自分のそれで塞ぐと、ソニックは目を閉じ、くぐもった声を上げた。
「…それでも、君は不満なのか?」
唇を離しただけの至近距離で問う。すると、薄く開いた彼の目からはたちまちに涙が溢れ出した。
「シャドウ……っ!」
今度は、彼の方から口付けてくる。僕はソニックの背中に腕を回し、彼の思いを存分に受け止めた。
「……なるほど、これが君の答えか。」
「……へへっ。」
目尻に溜まった涙を払い落とすと、ソニックは少し照れたように、自身の鼻の下を指で擦った。
…おおよそ、何度も世界を救ったヒーローに似つかわしくない表情だが、僕一人にそれを見られる権利があると思うと、悪い気はしない。
彼の目の中に、自分の姿が映っている。そんな事を妙に嬉しく思いながら、僕は改めてソニックと口付けを交わした。


過去は捨てた。
今、僕の目の前には、彼と共に歩む未来だけが、広がっている。
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