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タートルズSS 「君への課外授業」 (ジックス×ドナテロ) 

「ん~…。」
寝返りを打った僕の鼻に、香ばしいコーヒーの薫りが流れ込んできた。誰かキッチンで淹れてるのかな…。
うっすら目を開けて、枕元の時計を見る。時刻は朝の七時。みんなそろそろ起きだしてる時間だ。
その間にも、コーヒーのいい香りは僕の鼻をくすぐり続けている。ベッドから降りて、身支度を整えて、リビングへ。あくびをしながら階段を下りていくと、僕はそこで自分の眼を疑った。
「やっと起きてきたな。お早う、ドナテロ。」
いつもは、家族しかいないはずの朝のリビング。だけど今朝は、そこにジックスの姿があった。何度も目を擦って、瞬きもしてみる。だけど、やっぱりジックスがいる。
「何をしている? 早く顔を洗って来い。」
「…なっ、何してるんだって、それこっちのセリフ! ジックスこそ何やってるの!?」
慌てる僕に、ジックスはしれっと言ってのける。
「何って、朝食のデリバリーに決まっているだろう。…お前の顔も見たかったし、な。」
サラダの載ったトレー片手に、ジックスは僕にウィンクをしてくる。その後ろで、早くもテーブルに付き、サンドイッチをぱくついたマイキーが、歓声を上げた。
「ジックス! このサンドイッチ、すっげぇ美味い!」
「ははは、そうか。だが、全部は食ってくれるなよ。ドナテロの分も残しておいてくれ。」
そんな会話を背中で聞きながら、僕は言われたとおり顔を洗って、席に付く。すると即座に、僕の前に湯気の立つコーヒーカップが置かれた。
「お前のためのスペシャルブレンドも、たっぷり淹れて持ってきたんだ。冷めないうちに飲め。」
「…いただきます。」
僕は出されたコーヒーを、一口喉に流し込む。ちらりとジックスの方を盗み見ると、彼はマイキーと仲良さそうにお喋りしている。すっかり、僕たち家族に馴染んでしまっているみたいだ。
(何か、すっかりジックスの手にのせられてる気がする…。)
サンドイッチを咀嚼しながら、こっそりとため息をついた。僕に対する包囲網が、着々と作られているみたいで。そしてそれを、ジックスはさも余裕でこなしてしまうようで。
僕は複雑な気持ちになりながら、サンドイッチを飲み下した。


考えてみれば、ジックスは僕よりも大人だ。それに今までは、フリーランスの傭兵として、宇宙を駆け回っていたんだ。そんなジックスにとって、この時代での暮らしは、平和であり、少し退屈なのかもしれない。
だからあんなに、僕に対して余裕な態度を見せるんだろう。

でも、それは間違いだった。僕のことになると、ジックスからは「余裕」の二文字がキレイさっぱり消えてしまうらしい。
その日の夜、僕はそれを思い知らされることになる。


すっかり陽の落ちた夜のニューヨーク。僕たちは深夜トレーニングと称して、ビルの屋上を思い切り体を動かしながら駆け抜けていた。
「おっせぇぞドナテロ!」
ラフの軽口に苦笑しながら、僕はすいと彼を追い抜く。先頭を走るレオが、ビルの間を走るパイプを滑り降りていった。
もうすぐ中間地点。一番にたどり着いたのはやっぱりレオ。少し遅れてマイキー。僕とラフは、その後、ほぼ同時に到着した。
「ドナテロ、タイムはどうだ?」
レオに言われて、僕は持参していたストップウオッチを見てみる。
「先日の記録より、二秒近く速いよ。」
「やったー!」
僕の言葉に、マイキーが逆立ちして喜ぶ。運動してほぐれた体に、ひんやりとした夜風が心地いい。
「みんな、休憩はここまでにしよう。」
レオの合図で、みんな体勢を整える。でも、そんな僕らに声を掛けてきた影が一つ。
「お前たち、夜の散歩か?」
「!?」
みんな、弾かれたように声のした方を見る。あの濃紺のマントに身を包んだジックスが、そこにいた。
「違う、トレーニングだ。俺たちは夜しか、こうやって外でトレーニングが出来ないからな。」
レオが律儀なまでに応対する。すると、それを聞いたジックスは、小さく頷いて、なんと同行する、と言い出した。
「てめぇ…、一体何を企んでやがる!」
ラフが怒ってサイを引き抜き、切っ先をジックスの方に向ける。しかし彼は臆することなく、軽く肩を竦めた。
「別に、何も企んでいない。だが、ただタイムを競うだけでは面白くないからな…、ちょっとした趣向、と考えてほしい。」
「趣向?」
「そうだ。簡単に言うと、俺とお前たちで競争をするんだ。ここからゴール地点までな。どっちが先にたどり着くか、やってみるとしようじゃないか!」
言うなり、ジックスは僕たちに背を向けて駆け出す。一番先に我に返ったラフが、その後を追った。
「待ちやがれ!」
ラフの後を追うように、僕たちも走り出す。喧嘩っ早いラフのことだ、ジックスに飛び掛って、変なことにならないといいけど…。
「…くっそ、ホログラムか!」
あ、やっぱりね。
「気にするなラフ! 行くぞ!」
レオに言われて、ラフも気を取り直して走り出す。…確かに、ジックスの身体能力は素晴らしいものがあるけど、何たって地の利は僕たちのほうにある。これで負けたら、タートルズの面目は丸つぶれになる。だから、みんな必死だった。
…結果は、辛うじて僕たちの勝利。僕たちのすぐ後に辿りついたジックスは、一瞬だけ悔しそうな表情になった。
「どうだジックス! 俺たちのほうが先に着いたぜ!」
誇らしげに言うラフに、ジックスは大きくため息をついた。
「…あぁ、負けた。」
彼の口から漏れた敗北宣言に、僕たちは少しだけ沸いた。僕は近くにいたレオとハイタッチを交わし、ラフと拳を合わせ、マイキーに飛びつかれ、それぞれ健闘を讃えあっていた。
だから僕はその時、ジックスがどんな顔をしていたか、全く分からなかった。


その翌日、僕はいつも通り、ジックスが経営する喫茶店に顔を出した。人目を盗んで、そっと裏口から入り込む。
「ジックス。」
ひょいっと顔を出して呼びかけると、カウンターの中にいたジックスが、ゆっくりこちらを振り向いた。
「…ドナテロか。」
描けてきた声に、いつもの張りがない。おかしいと思いながらも、僕はいつもの指定席に腰掛ける。
僕の注文をジックスは心得ていて、すぐにスペシャルブレンドが出される。カップの中で揺れる褐色の液体を、僕は一気に半分ほど飲み干してしまった。
「はー、おいし…。」
コーヒーで幸せそうな顔の僕。片やジックスは不機嫌そうな表情で、グラスを拭き続けている。…何か、あったのかな?
「…ねぇ、ジックス。何かあったの? 機嫌があんまり良くなさそうだけど…。」
そう話を切り出した途端、ジックスの手がぴたりと止まってしまう。…あったんだな、何か。
僕と視線を合わせないまま、ジックスは言いよどむように唇を舐め、やがて観念したように息を吐き出す。
「…ドナテロ、聞きたいことがある。」
「…何?」
「その…、お前たちは、いつもあんな風に、気軽に触れ合ったりしているのか…?」
「…えっ?」
ジックスの言葉の意味が分からなくて、僕は聞き返す。触れ合うって、何の話…?
「昨日の夜の話だ。」
そこまで言われて、僕はやっとジックスが何を言いたいのかが分かった。昨日、僕たちはジックスとの競争に勝って、皆で喜び合った。きっと、あの時の話をしてるんだ。
「…うん、普通のスキンシップだよ。僕たちは兄弟なんだから、普通にやるよ?」
僕が答えると、ジックスは少しだけ唇を尖らせる。何でそんな顔になるかなー…。
「…もしかして、嫉妬、してないよね?」
「ち、違う! 俺は…!」
嫉妬、の文字が出た途端、目に見えてジックスが慌てだす。やっぱり、か…。
「正直に言ったら?」
残りのコーヒーを喉に流し込むと、ジックスは視線を宙に彷徨わせ…、辛うじて聞き取れるような小さな声で、とうとう白状した。
「…そうだな、嫉妬だ。いくら兄弟とはいえ、お前の肌にああも簡単に触れられると、…あまり気分の良いものではない。」
「…そっか。」
素直に認めたジックスに笑みを向けて、僕はシェルセルを取り出し、ジックスの前で電話を掛け始めた。
「…あ、もしもし、レオ? …うん、僕。今? ジックスの喫茶店。でさ、僕、今日はこっちに泊まるよ。いいよね? それじゃ。」
通話を終え、シェルセルをしまうと、ジックスは驚いたような顔で僕を見ていた。泊まる、の一言がちゃんと聞こえたみたいだ。
「…今日はね、特別に授業をしてあげようと思ってね。」
あんなに僕をドキドキさせて振り回すくせに、兄弟間のスキンシップにすら嫉妬しちゃう、変なとこでわからず屋のジックスに。
「一晩掛けて、僕がちゃんとジックスを好きだってことを、きっちり分からせてあげる。ちゃんとついてきてよね?」
今度は僕がウィンク一つ。しばらく唖然としていたジックスは、額に手をやって、抑えきれない笑いを口からこぼし始めた。
「…言ってくれるな。いいだろう、受けて立とうじゃないか。」
不敵な笑みが戻ってくる。…そうだ、これでこそジックスだ。
僕が飲み干したコーヒーのカップを片付け、ジックスは軽く頷いてみせた。それを受けて、僕も腰掛けていた椅子から立ち上がる。
照明が落とされ、誰もいなくなった店の中に、裏口のドアが閉まる音が、ばたん、と響いた。






ジックス×ドナテロ 第6弾です。今回はえろくないの。

テーマは、「兄弟間のスキンシップに嫉妬しちゃうほど、ドナテロに惚れちゃってるジックス」です。

今回、糖度はどうなんでしょうね。あまり意識しないで書いたものほど糖度が高いので、…高め、かな?


最近、ジックスクラスタが順調に増えてきていて、嬉しい限りです。もっと増えろっ


それでは、今日はこの辺で。
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