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必殺SS 「心化粧」 (政×竜) 

「こころげそう?」
何でも屋の上がり框に腰掛け、竜が訝しげに口を開く。
「そ。今、若い娘さんたちの間で流行ってるんだとさ。それが何なんだかは、まぁ良く分からないんだけどね。」
届いたばかりの荷物を手早く開けながら、加代が呟く。
「…若い娘だったら、お前ぇは違うだろうが。」
「何言ってんだいあんたは! こんなべっぴん捕まえといて!」
加代の言い分に耳を貸さず、竜は出された茶を一口すする。
「でもねぇ、『こころげそう』だろう? 『そう』が付くからには、何かの植物かねぇ…。」
「……さぁな。」
「植物だったら、政さんなら知ってるかもしれないね。あの人花屋だしさ。」
そんな二人の会話に割って入ったのが、当の政である。
「俺が何だって?」
彼はちょうど、外から戻ってきたところであった。ひょいと顔をのぞかせた政に、加代がさっそく声を掛ける。
「あら、お帰り政さん。今ね、組紐屋と…。」
「それじゃ、俺は帰る。ごちそうさん。」
加代の言葉を遮り、竜は湯飲みを置いて、そのまま店から出て行く。
「…あれ、水臭いねぇ組紐屋は。せっかく来たってのに…。」
「…で、俺が何だって?」
「あ、そうそう。さっきね、組紐屋と…。」
足を早める竜の耳に、加代の声はもう聞こえなかった。


近頃何故か、政の顔がまともに見られない。
先ほど、政が顔を出したときも、竜は驚いて湯飲みを落とすところだった。
顔は見られない、声を聞いていても落ち着かない。なので竜は、茶を一息に飲み干して、加代のところを辞したのだ。
自然に高鳴る心臓を押さえながら、竜は足を進める。

…今、自分を悩ませている、この感情こそが、「こころげそう」なのだとは、露とも知らないままに。





お江戸の言葉ってステキ。

あおきです。どうも。

今回は、突発的に思いついた政竜です。久々です。
はたけ/なか/めぐみの時代小説を読んでいたら、こんな素敵な言葉が出てきたんですよ。

「心化粧 (こころげそう):口には言わないけれど、内心では恋い焦がれていること」

それでなくても、相方から書いてくれと言われていたので。
思いついたその時に書かないと、忘れちゃいますし…。

これで許してくれるかな、相方。


では、今回はこの辺で。
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必殺SS 「似たもの同士」 (政×竜) 

「待ちやがれ!」
「今日は逃がさねぇぞ!」
そんな物騒な声に、俺は渡っていた橋の下を、ひょいと覗き込んだ。
(あれは…!)
橋の下、三人ほどのごろつきに追いかけられている男が一人。それは紛れもなく、
(竜じゃねえか…。何やらかしたんだ、あいつ…。)
ともあれ、想う相手が追い掛け回されているのを、黙って見ていられるわけもない。俺はすぐに橋の下に降り、竜の加勢をすることにした。
「何だ手前ぇは!」
橋の下に降りるなり、ごろつきの内の一人が食って掛かってくる。そいつの鳩尾に、俺は無言で拳を叩き込んだ。
これでまず一人。
それを見て、竜も手近にいた奴の腕を掴み、そのまま後ろに回り込んで関節を捻り上げる。濁った悲鳴が辺りに響いた。
「…おい、まだやるか?」
「いっ、いいえ…! 遠慮しておきますぅぅ!」
観念したと見て、竜がそいつを解放してやる。と、奴は痛む腕を擦りながら、残った一人を連れ、泡を食って逃げ出していった。
「はぁ…。」
思わずため息をついた俺に、竜は怪訝そうな目を向ける。
「お前ぇ…、何で来たんだ?」
「…聞きてぇのはこっちだよ。何であんな奴らに追われてたんだ?」
逆に俺が聞くと、竜は無言で歩き出す。追いかける俺を後目に、竜は橋の下まで行って、そこで足を止めた。
「…二日くらい前、あいつらに絡まれてた娘を助けた。そうしたら今日、奴ら、逆恨みして襲ってきやがったんだ。」
「…なるほど、な。」
それなら、納得がいく。が、
「…その子、絶対お前ぇに惚れたな。色男も苦労するな。」
「……何が言いてぇんだ。」
じろりとこちらを睨む竜に、俺はひょいと肩を竦めてみせ、
「ま、行動自体は間違っちゃいねぇ。俺だってそんな場面に出くわせばそうするさ。」
ただ、こいつは分かってねぇ。その優しさが、結果的に俺にとっての恋敵を増やす、ということを。
「…ったく、とっとと俺のものになっちまえば済むことなのにな…。」
思わず漏らした独り言。だが、竜にはしっかり聞こえてしまったようだ。眉を顰めても変わらぬ整った顔立ちで、じっと俺の顔を見てくる。
「…お前ぇ、今何て言った?」
「……何でもねぇ!」
妙に気恥ずかしくなって、俺は頭をがしがし掻きながら視線を逸らした。
「っと、そうだ。お前ぇ、せっかく俺が加勢したってのに、礼も無しかよ。」
「……。」
照れくささを隠すためにわざと大きな声で言うと、竜は急に黙り込み、川のほうに視線を投げた。
「…助けてくれなんて、頼んだ覚えはねぇよ。」
話をはぐらかすような口調だが、俺には分かる。いつもより少し瞬きが多くなっているのは、こいつが照れている証拠だ。
「…はっ。」
俺が苦笑を漏らすと、即座に竜が睨んでくる。何がおかしいんだ、とでも言いたげに。
あと、この拗ねたような表情。これも、竜が照れたときに見せる顔だった。


(いつまでたっても、素直じゃねぇな…。)

ま、人のことは言えた義理じゃねぇ。俺もこいつに対しては、素直になれた試しがないからな。

全く、お互い変なとこが似ちまったもんだ。

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必殺SS 「しらたま」 (政×竜、捧げ物) 

出来上がった刀を渡しに行っての帰り道、政は仕事がひと段落したことから、少し空腹を覚えた。
(金は受け取ったし、たまにはどっかで食ってくのもいいな…。)
そう思い、政は手近にあった一膳飯屋に入った。
「いらっしゃいませー!」
暖簾をくぐるなり、下女の威勢のいい声が響く。ちょうど昼飯時ということもあり、ごった返す店の中、政はようやく空いた席を見つけた。
「邪魔するぜ。」
ひょいと席に着き、相席となった相手の顔を見やる。と、そこで政は驚きに目を見開いた。
「組紐屋…!」
政の相席の相手となったのは、その名の通り、組紐屋の竜であった。ずっと頬杖をついて外を見ていたから、政は気がつかなかったのだ。
思いがけぬ偶然に、政は竜のほうに体を乗り出す。
「珍しいな、お前ぇが、こんなとこで飯食うなんてよ。」
「…お前ぇこそ、何でここに居るんだ。」
明るい声の政とは対照的に、竜は不機嫌そうに呟く。
「何でって…、仕事の帰りだよ。刀の研ぎを頼まれてたとこが、ちょうどこの近くでよ…。」
そこまで言ったところで、下女が二人に注文を取りに来る。二人とも定食を頼み、政は改めて竜の端正な顔を見つめた。
…思えば、最近裏の仕事もなく、顔を合わせるのすら久しぶりな気がする。と、そこでようやく竜が政の視線に気づいた。
「……どうした?」
「っ…、あ、いや、何でもねぇ…。」
瞬きを何度もしながら、政は竜から視線を外す。…ここでお前を見つめてた、などと言ったら、竜に変な目で見られるのは確実である。黙っておくほうが得策だ。
程なくして、定食が運ばれてくる。二人はそれに、ほぼ同時に箸をつけた。
政はまず、白飯を口に運ぶ。対して竜は、味噌汁の入ったお椀を手に取り、口をつけようとして、
「…熱っ。」
思いのほか熱かった味噌汁に、小さく声を上げた。
「……。」
竜は無言のまま、味噌汁の表面に何度も息を吹きかけ、冷ましている。そんな竜に、思わず政は箸を止めていた。
「…今度は何だよ。」
呆けたように自分を見ている政に、竜が声を掛ける。それに反応してか、政は半開きの口から小さな呟きを漏らした。
「…お前ぇ、可愛いな…。」
「…!」
政の言葉に、竜は露骨に眉間にしわを寄せる。男である自分に、可愛いなどと。こいつは何を考えているのだろうか。そう言ってやりたい竜だったが、黙ったまま味噌汁を啜り、付け合せの煮物に手を伸ばした。
竜が口を開いたとき、政には竜の白い歯が、まるで真珠のように見えた。


定食を腹に納め、落ち着いた二人だが、何となく、「このまま別れてしまうのはもったいない」と思っていた。
そして当然のように、それを先に口に出したのは、政のほうだった。
「…なあ、竜…。どっかで、白玉でも食ってかねえか? お前ぇ、好物だろ?」
「……。」
竜は小さく頷き、政の少し後について歩き出した。
この辺りで白玉が食べられる甘味処がある場所といえば、やはり参拝客で賑わう神社の境内であろう。
二人はそんな茶店の中の一つに入り、入れ込みに並んで腰掛けた。
冷えた麦湯を運んできた下女に、政は白玉を二つ注文する。
「…今日は、俺が奢る。」
そう言う政に、竜は無表情のまま、少しだけ顔を赤くした。
すぐに、よく冷えた白玉が運ばれてくる。器も冷やされており、持つ手までがひんやりと心地よかった。
器の中には、白玉と白砂糖が盛られており、たっぷりと砂糖を白玉に絡めて食べるのだ。
早速、竜が一つ目の白玉を口に運ぼうとする。が、
「あっ…!」
楊枝への挿し方が甘かったのか、白玉は竜の手からこぼれ落ち、地面に転がってしまう。それを見て、竜はがっかりしたような表情になった。
ふと気がつくと、がっかりした自分を、またも政が見つめている。竜はうな垂れたまま、上目遣いで政を睨みつけた。
「…さっきから、何なんだお前ぇは。」
恨みがましい口調の竜に、政は口の中の白玉を飲み下して、こう言った。
「…やっぱお前ぇ、可愛いな…。」
「……!」
二回も「可愛い」などと言われ、竜の不機嫌は最高潮に達した。竜は一皿目の白玉を食べ終わらないまま、下女に白玉のお替りを注文した。
「ちょっ、お前ぇ、食いすぎだぞ?」
「うるせぇ。俺のこと、可愛いだなんて言いやがって。これぐれぇ我慢しろ。」
手早く一皿目を食べ終わり、竜は傍らに置いておいた二皿目に手を伸ばす。その様子に、政は竜に分からないように苦笑を浮かべた。
(こいつが喜んでんなら、いいか…。)
口の中に広がる甘味は、久しぶりに二人で過ごせる時間と同じくらい、政には甘く感じた。






…よし、ミッションコンプリート!
相方に捧げるSSでございます。テーマは「お前ぇ、可愛いな。」
政が竜に思わず「可愛い」と言ってしまうようなシチュエーションを作れ、と言われました。
なので、味噌汁と白玉のダブルでいってみました。

「白玉」と「真珠」、どっちも「しらたま」って読むんですよ。
だからタイトルは「しらたま」。…ちょっと真珠の部分が強引なような気もしますが、纏まったので良し。

白玉あんみつ、美味しいですよね。あおきは粒餡が苦手なので、あまり食べませんが。というか、あんこじゃなくて白玉をメインで食べたいんだよ。何で申し訳程度に2、3個しかついてないの。

…自分で作れ、ってことか?


最後に。

相方受け取れ! (ノ゚Д゚)ノ ⌒☆ そぉいっ!!


では、今回はこの辺で。

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必殺SS 「鳴かぬ蛍が身を焦がし」 (政×竜、裏) 

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必殺SS 「化粧」 (政×竜、裏) 

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