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ソニックSS 「Windmill isle」 (シャドウ×ソニック) 

目の前に広がるのは、果てなく続く青空。眼下に広がるのは、どこまでも続く青い水面。
視線を右に向ければ、海からの風を受けて、ゆっくりと回る大きな風車。白い街並みによく映えている。
眩しいくらいの、青と白のコントラスト。僕は目の上に手をかざし、ぽつりと呟いた。
「ここが…。」
すると、その呟きを受けてか、僕の左側から声が聞こえた。
「そう、ここがアポトスさ。」
声のする方に顔を向けると、そこには僕をこの地に連れてきた張本人― ソニックが立っていた。
「キレイな場所だろ? シャドウ。」
彼が両手を広げ、笑いながら言う。この空よりも、海よりも、もっとも青い存在である、彼が。
「…あぁ。」
ソニックの言葉にうなずくと、彼はまた満足そうに笑った。


白い石畳の道を歩いていて、驚いたことが二つある。
まず、緑が豊かだ、ということ。ここでは、誰も見ないような路地裏にすら、花が植えられたプランターがあり、通る者の目を楽しませている。
もう一つは、道行く人々がみな、ソニックに親しそうに声を掛けていることだ。そんな一人一人に、ソニックは律儀に返事をして歩く。それが不思議でならない。
「…君は一体、ここで何をしたんだ…?」
耐え切れずに聞いてみると、彼は「あぁ…。」と言葉を濁しながら、手近にあった椅子に腰掛けた。促されるまま、僕もその隣に座る。
「…オレはここで、星を癒す手伝いをしたんだ。」
「…星を、癒す…?」
ソニックは語りだす。以前ここで起きた出来事を。ドクターの計略によってこの星が割れ、中からダークガイアという怪物が出てきたこと、それを倒し、星を元に戻すために世界中を駆け巡ったこと…。
「…ドクターは、そんなものを覚醒させて、何をしようとしていたんだ?」
「お決まりの『エッグマンランドとやらの建設』さ。自分の企みが上手くいったからか、絶好調だったぜ、アイツ。」
「…フン、いかにもドクターの考えそうなことだ。」
元から、アイツはそういった事しか考えていない。そう言い換えた上で、ソニックは話を続けた。冒険の最初に出会った記憶喪失の生き物に、チップという名を与えたこと、旅を進めていくうちに、世界中のたくさんの人たちと知り合いになったこと、チップの正体が先ほどのダークガイアと対を成す存在であり、全てが終わった後に、ダークガイアと共にこの星の奥深くで眠りについたこと…。
「…だから、言ってみればこの星そのものが、オレのかけがえのない友達なんだ。」
「星そのものが、友達…。」
「そうさ…。」
そこで言葉を切り、ソニックは俯いてしまう。体の前で組んだ手のひらに、ぐっと力をこめている。少しの沈黙の後、彼はごく小さな声で呟いた。
「…大切な、友達だったんだ…。」
ソニックが見せた、何か思いつめたような表情。僕は声を掛けることをためらい、ただ黙って彼を見つめていた。
「…へへっ、こんなんじゃあ、チップに笑われちまうな。」
微かに滲んだ涙を指で拭い、ソニックは勢い良く椅子から立ち上がった。
「来いよ、シャドウ。お前に見せたいものがある。」
「見せたいもの…?」
「ああ。」
それを聞いて、僕も椅子から立ち上がる。その間にソニックは、近くにあったアイスの屋台でアイスクリームを二つ買い求め、その内の一つを僕に渡した。
「ほらよ、シャドウ。」
受け取ったアイスを、僕はしげしげと眺めてみる。コーンの上に、たっぷりと盛られたアイスと生クリーム。飾られたフルーツにワッフル、そしてチョコチップ。
「ここの名物の、スペシャルチョコサンデーだ。美味いぜ?」
「…君が、見せたかったというのは、これか?」
早速アイスを食べ始めていたソニックは、僕の言葉に思わず手を止めた。
「いや、これもそうだけどさ。本当に見せたいものは他にあるんだ。」
頬を掻きながら、彼はそう呟く。アイス屋の主人に礼をいい、ソニックは僕を街の奥へと案内した。


太陽と月が描かれたゲートをくぐると、そこにあったのは神殿風の建物。
「ここは、エントランスステージさ。ここから、色んなコースに行けるんだ。」
なるほど、確かにキレイな場所ではある。だが、ここに何があるというのだ…?
「ソニック、いい加減にしろ。君は一体、僕に何を見せたいんだ。」
いつまでも、「見せたいもの」の正体をはっきり言わないソニック。僕の苛立ちは頂点に達していた。
「…あぁ、悪ぃ。実は、ここはアポトスで一番高い場所なんだ。街全体が見渡せる。」
「…それで?」
「で、このアポトスは昼間もキレイだが、特にキレイなのが夕方の風景なんだ。白い建物に夕日が映えてさ…。それをお前に見せたかったんだ。」
「……。」
ようやく白状した、僕に見せたいもの。それは、聞いてしまえば何という事はなく。
「…だったら、最初からそう言えばいいだろう。」
「内緒にしときたかったんだよ。」
「君は、時々感傷的になるな。」
あまり何を考えているか分からない、飄々とした面もあるソニック。ともあれ、そう来たからには、陽が落ちるのをここで待つのだろう。僕は食べかけのアイスを一口かじり、ウェハースと一緒に飲み下した。すると。
「あ、シャドウ。…付いてるぜ?」
そう言って、ソニックが僕の唇に付いたアイスを舐め取り、そのままキスをしてくる。こうやって誤魔化すのが、近頃の彼の常套手段だった。
「…君は、何か理由がないと、僕にキスも出来ないのか?」
「いや、そういう訳じゃ…。」
憮然とした顔になる彼を、海からの風が撫でていった。午後の日差しは少しずつ傾き始め、夕方が近づいてくる。
僕たちはアイスを食べ終え、その瞬間を待った。


そして。

「……!」
街全体が、橙色に染まった。
建物が夕日の色を受けて輝き、眼下に広がる海も光を反射して煌めき、この上なく美しい。
「な? こいつを、お前に見せたかったんだ。」
ソニックが照れたようにこちらを見る。僕は呼吸すら止めて、その風景に見入っていた。
(マリア…。)
ふと、マリアのことが頭をよぎる。アークの中からいつも、遠くの青い星に憧れていた彼女。
もし、彼女がこの風景を見たら、一体何と言うだろうか。

『わぁ…! ねぇ、シャドウ。思ったとおりだったわ。やっぱり…。』

「…やっぱり、この星はキレイだよな。そう思わないか?」

「あっ…。」
思いがけず、思い浮かべていたマリアとソニックの言葉がシンクロして、僕は動揺してしまう。
「…どうした?」
「……いや、何でもない。」
視線をそらすと、ソニックは訝しげな視線を僕に向けてくる。
「変なヤツ。」
首をかしげるソニック。僕はそんな彼の腕を掴み、ぐっと自分の方に引き寄せた。
「いっ…!?」
間髪いれず、僕はソニックの唇を奪う。大きく見開かれた緑色の双眸は、瞬きすら忘れ、小さく震えていた。
口を離すと、すぐに彼は一歩後ろに下がり、手で口もとを覆う。突然のキスにうろたえるソニックに、僕は呆れたような目線を投げた。
「…君は、自分からしてくるのは平気なくせに、僕からされるのは弱いんだな。」
「あ、当たり前だろっ…!」
夕日に照らされていてもはっきりと分かるほど、ソニックは顔を赤らめている。僕は小さく笑いを漏らし、今度はそっと、彼との距離を詰めた。


夜を告げる鐘の音が、街と僕たちを優しく包みこむように、いつまでも響いていた。





や…、やっと書けた…!

あおきです。どうも。
今回は、読みたいSS投票で5位に入った、シャドウ×ソニックをアップしました。

遅筆過ぎる。申し訳ないです。
自分でも、こんなにペースが遅いとは思いませんでした。

シャドウを、SWAの世界に行かせてみたい、というのは、以前からあったネタでして、
せっかく票を入れていただいたのだから、ここで書き上げてみよう。そう思い立って数ヶ月。

待たせすぎている。謝るしかない。
時間も音速ですぎているだろう。そうとしか思えん←

マリアとソニックのセリフのシンクロを思いついてから、やっとせっせと書けるようになりました。


さて、これで読みたいSS投票で票をいただいたSS、全てアップ完了いたしました。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

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カテゴリ: ソニックSS

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ソニックSS 「Starting over」 (シャドウ×ソニック) 

過去は捨てた。
全てを終わらせたときに、宇宙の彼方に置いてきたはずだ。
だが今、彼はそのことを責めてきている。
「本当に…、全部、捨てちまったのかよ…!」
ソニックは僕の両肩を掴み、がくがくと揺らす。その表情は陰に隠れ、はっきりとは分からない。しかし、彼の声は確実に涙を含んでいた。
「なあシャドウ、俺たち、一緒に走ったことがあったよな。二人で戦ったときもあった…。あの時お前は、俺のことをフェイクだって言って…! 他にもたくさん…。それを、全部忘れたっていうのか…!?」
問い詰める彼に、僕は目を伏せたままで、言葉を返した。
「…本当に、すまないと思っている。だが解ってくれ。僕にとって過去とは、忌々しいものだった…。それこそ、自分自身という存在に嫌気が差すくらいに…。」
「だからって…!」
更に言い募ろうとする彼を手で制し、僕はその場から一歩退いた。僕の肩に置かれたままだった彼の手が、宙に固まったままになる。
「…記憶を失っていたとはいえ、僕がこの世界に多大な迷惑をかけたことは事実だ。だから、僕はそれを償いたい。もちろん許されるとは思っていない。ただの自己満足だと言われるかもしれない。しかし、そうしなければ、僕の気は治まらないんだ。」
言いながら僕は、無意識のうちに自らの手を固く握り締めていた。堪えきれない痛みを、無理やり押しとどめるように。
「シャドウ…。」
それを知ってか、ソニックは何も言えないようだった。握っていた手のひらをゆっくりと開き、僕は軽く息を吐いた。
「そして、全てを新しくやり直したい。そのためには、僕はどんなことでもするつもりだ。」
「……。」
ソニックからの言葉はない。そこで僕は初めて顔を上げ、少し潤みかかった彼の目をひた、と見据えた。
「君にも迷惑をかけた。まずは、それを謝りたい…。」
僕が頭を下げると、ソニックは驚き、おたおたと慌て始めた。
「シャドウ、お前が気にすることじゃないさ。だから、頭なんて下げないでくれよ! オレはただ…。」
「ただ?」
中途半端に言葉を切ったソニックに視線を向けると、今度は彼のほうが俯いてしまっていた。
「…ただ、以前のお前に戻ってほしくて…。」
「以前の僕に?」
完全に俯いてしまった彼に、僕は自嘲気味な笑みを向けた。
「言ったはずだ。僕にとって過去は忌まわしき物…。もう、振り返るようなことはしたくない。いつでも真っ直ぐ、前だけを見て走っていく。それがソニック・ザ・ヘッジホッグだろう。」
「……!」
少しではあるが、彼の両の目が見開かれる。その緑の双眸を、僕はもう一度、正面から見つめた。
「君への想いは変わらない。だから君との関係も、『以前に戻る』のではなく、また『新しく始めたい』んだ。今、この瞬間から。」
先ほど下がった一歩を前に踏み出し、ソニックとの距離を詰める。半開きになっていた彼の唇を自分のそれで塞ぐと、ソニックは目を閉じ、くぐもった声を上げた。
「…それでも、君は不満なのか?」
唇を離しただけの至近距離で問う。すると、薄く開いた彼の目からはたちまちに涙が溢れ出した。
「シャドウ……っ!」
今度は、彼の方から口付けてくる。僕はソニックの背中に腕を回し、彼の思いを存分に受け止めた。
「……なるほど、これが君の答えか。」
「……へへっ。」
目尻に溜まった涙を払い落とすと、ソニックは少し照れたように、自身の鼻の下を指で擦った。
…おおよそ、何度も世界を救ったヒーローに似つかわしくない表情だが、僕一人にそれを見られる権利があると思うと、悪い気はしない。
彼の目の中に、自分の姿が映っている。そんな事を妙に嬉しく思いながら、僕は改めてソニックと口付けを交わした。


過去は捨てた。
今、僕の目の前には、彼と共に歩む未来だけが、広がっている。

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